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2005年11月20日(日)


■『泣かない女はいない』長嶋有
主人公の睦美という人は、わたしによく似ている。ぼーっとしているようなんだけど、そこにはしごがあればうむ、昇るタイプ。でもたぶん、こういうひとは本当はたくさんいるんではないかなと思いました。見えづらくてもたぶんたくさんいて、でも目立たないからちょっとだけ珍しがられたりすることがあったり。とかいって、いないよ!とか言われたらやだな。。

シャトルって…と、またなんかツボな地域で、高校見学で大宮からシャトルに乗って揺られたときのことを思い出しました。(電車の中で友達と、ものすごく一生懸命コアラのマーチの眉毛を探した記憶がある)すごく寒い日だったので、寒くてさみしい空気感が作品と重なって、面白い心持ちで読みました。フォークリフトとかある場所にいたこともあったし。うん、男のヒトってフォークリフトに乗った途端生き生きとするよな、と思いました(笑)

作品としてはとても丁寧に書いているのだけど、ちょっと桶川さんの出会い方とか、ラストのところとかあからさまな!と思うところも多々あり、タイトルが強いので、当然ラストは一歩引いてあるんだけど、さらにあともう一歩引いたところで終わってたらよかったなあと思いました。

それにしても、彼氏が時計を買ったといって振り返って笑ったあとの5行、頭に血が昇りました。眩しすぎたのかな、でもわたしもたぶんそうする、と思う絶妙なタイミングで、たぶん他人から見たらしょうもないんだけど、綺麗でいいシーンだなと思いました。