昨日の猫は やっぱり箱に入ったままで
違ったのはその箱がガムテープで目張りされて
堰に投げ捨てられていることだけだった。

その、ヌケガラの重さの分だけ
堰の中に沈んだ箱は
底が少しだけ水に浸っていて

学校に行って、
まあまあ普通に過ごして、
帰ってきたとき、

その箱はまだ其処に在った。

水が淀んだ堰は、雨でも降らない限り流れは起きなくて。
それ以前に、橋に引っかかっていて。

あの猫はきっと、箱の中で腐っていくのだ。
淀んだ堰の中で日に日に、日に日に。
その体に蝿が集り蛆に集られ
眼球を真っ先に食われ 失った漆黒で
闇で閉じられた箱の中を見て。
毛が抜け落ちて 肉を内臓を食まれ
異臭を撒き散らして 骨を残して。


昨日から頭の奥にあるのは猫のことだ。
彼か彼女か分からないそれは、鳥のことを思い出させて。

どんどん思考が暗い方向に沈んでいく。
ああ、もう。

こんなんじゃ、駄目なのに。
2005年06月15日(水)

AGO。 / 走馬真人

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