一度も模様替えをしていない実家の自室には
七年分の私の欠片が堆積している
此の部屋で私は
七年を過ごした。
此の家は、帰る場所であり
同時に悪夢の象徴でもある

此処から全てが始まったのだと
全身の細胞が告げる。

差し込む月明かりは
蟠る暗がりは
まだ鮮明なのに
薄れた記憶のなんと多いことか!

殺されたかった。
自分で死ぬ勇気なんか無くて
でも消えてしまいたかったから。
何時しか
他殺、ではなく
自殺、を望んだ。
此の身に此の手による此の存在の消去を
ただ
ひたすらに
望んでいた。

それが甘えだということには
気付かない振りをして。

痛かったんだ。
それが脆弱な故だとしても
とてもとても、痛かったんだ。
薄い切り傷なんて大したことないくらい
痛くて痛くて堪らなかった。

それは真実だったと信じたい。
都合良く改竄された記憶の中
照らし合わせても変わらないと。


殺されたかった。
死ぬ手伝いをして欲しかった。
死にたかった。


本当はもっとずっと前から
笑えていたに違いない。

嫌な子供だった。
望んだ世界で生きていけなくて
癇癪を起こしていた。

子供の最後の一年間の言の葉は
自己憐憫と正当化に溢れていて

あの暗闇を思い出す
きっとあれは暗幕だった。
望んでいた物はきっと
一枚布を隔てた向こうにあったのだ。

「死んだって誰も悲しまない」
子供はそう言って泣いた。
子供は誰が死んだって悲しまなかった。
仕組みは、それだけ。

子供の軌跡を辿るのはきっと自慰に近い。

かわりたくない。
あのひとたちがわるい。
わるくない。
わるくないんだ。
まちがって、ないんだ。

視界が歪むのはきっと
あの時泣けなかったからだ。

泣き方を思い出したのは
何時だったろう?


狭い世界で
間違っていることは悪だった。
否定の言葉は
死刑宣告に近かった。

嗚呼、
嗚呼、
にて、るんだ。
あのひとたちに。
あのひとたちの血は
確かに此の体に流れてるんだ。

痛い
痛い
痛い
痛い
痛い
痛い
痛い
痛い
この痛みは、幻覚?

箱から漏れ出した何かに
歪む世界を
何故だか愛しく思ったのは
何かが歪んでしまったからなのだろうか。
2007年12月28日(金)

AGO。 / 走馬真人

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