気ままな日記
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2005年01月23日(日) 『共依存』に惹かれて

 日比谷へ、映画『陽のあたる場所から』を観に行く。
テーマは『共依存』。
 祖国アイスランドから失踪し、精神科病棟に入院中のロアは、誰にも心を開かず、口をきかず、研修医コーラにとっては気になる存在。やがて、コーラに対してだけは打ち解け始めたその矢先、祖国へ強制送還される。すっかり彼女にのめりこんでいたコーラは、彼女を病院に連れもどすべくアイスランドへ渡る。が、そこにあったのは、アルコール依存の夫との生活を、声を失ったまま続けるロアの日常だった―。
 誰にも心を開かなかったのに、私にだけは心をひらこうとしている、私こそ彼女のよき理解者、助っ人だわ、という思い込み。自分が他人から必要とされることの魅力や、他人を、自分の問題で振り回したいという誘惑は、やはりお国柄の違いを超えて存在するものなのね。
 ロアの、時折見せる笑みを、コーラは打ち解けてくれた印と見たようだったが、わたしには、「わたしの人生をどうにかすることなんか誰にもできっこないのよ」という諦めの笑みに思えた。
 他人の人生を左右することなんか誰にもできないんですよ、という分かりやすいメッセージが静かに余韻として残る映画。
 でも、「やっぱり強引にでも病院に連れ戻したほうが、良かったんではないだろうか。そうすればロアも、いつかは、『自分の声』をとりもどすことができたのではないだろうか」と未練がましく思ってしまったのも確かです。


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