気ままな日記
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2006年06月09日(金) されど墓

 あさって、父方の祖母の17回忌の法要が行われる。
墓は岡山県の山の中にある。道路からそれて、山の中へ分け入る階段を数段昇ると、下草を刈り取られ整えられた小さな墓地が広がる。
 この墓ができたのは、30年前に祖父が亡くなった時である。
 納骨式の時、モデルハウスの部屋のドアをあけてみるように、墓石の蓋をあけて中をのぞきこんだ父が、
「これなら全員はいれるぞ」とうれしそうに言った。
「あんたもいっしょに入れてもらえるように頼んできたから」母がわたしにそう言ったのは、4年前の13回忌の時だったろうか。
 自分のお墓ぐらいは自分で建てたい……海を見下ろす高台にあり、眺望に恵まれた霊園の広告を見るたびに、ちらりとそう思った。しかしそういうロケーションは、むしろ墓参りに来てくれた人のためのものであって、中にはいっている者にとっては、見晴らしもへったくれもない。
 海に散骨。という話もたまに聞く話だが、さんざん焼かれたあげくに、今度は水攻めというのも、なんとも心細い。
 ここはやはり、先祖代々のしがらみにどっぷりとまみれつつ、段々とぎゅうぎゅう詰めに手狭になっていく墓のサマを味わうのも一興かもしれない。


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