気ままな日記
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2007年10月28日(日) クワイエットルームへ

 映画『クワイエットルームにようこそ』を観に行く。
物語は、とある精神科病棟で繰り広げられる。クワイエットルームというのは、閉鎖病棟のこと。
 大量服薬によってこの閉鎖病棟に担ぎ込まれた明日香は、そこでさまざまな症状(個性)を抱えた人々に出会う。
 ずいぶん前に見た洋画「カッコーの巣の上」も確か、場面設定は同じだった。あの映画は、後味がなんだかやりきれなくて、その分強烈な印象が残ったっけ。
 物語の前半はなんだか楽しそうで、わたしも少しこういうところに身を置いてみたい、と思わせるほど。しかし、入院が2週間という短い期間だったにかかわらず、退院した明日香を乗せたタクシーがどんどん病院から遠ざかっていく様を見て、なんともいえないすがすがしさや開放感を感じた。
 社会に適応するために仮面をかぶり続けるのもしんどいけれど、あまりにも剥き出しにされた人間の本性や欲望をさらしたり、それを目の当たりにし続けるのも、きついものなのかも。
 入院中に親しくなった人たちが、寄せ書きの色紙をくれたり、似顔絵をくれたりするのだが、明日香はそれらを、病院を出るとすぐにゴミ箱に捨てる。そして、一足早く退院していった、同じ「匂い」のする女性がメモして渡してくれたアドレスもタクシーの中から捨てる。
 精神科病棟という特殊な世界の中、親しみを感じたり情が移ったりしても、それはその建物の中だけのこと。心の中にだけとめておくものであって、決してその人間関係を外にまでひきずってはいけない、というメッセージがこめられているようだった。


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