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7月23日は「文月ふみの日」です。 そこで、“手紙”が心に残るポイントとなっている こちらの作品を。 (ただし、どこに使われているかを書くとネタバレになりますので、 その辺は伏せてあります)
ラスト・プレゼント The Gift/Sun Mool 2001年韓国 オ・ギファン監督
予告編を見ただけで、 「あ〜、こりゃ“ダメ”だろうな」と思ってはいました。 (というか、この時点で少し涙がにじみました) そこに追い打ちをかけるように、 「どんなに泣いても、恥ずかしくありません」の一言。 私はその言葉に寄り掛かるように、 素直に泣かせていただきましたが、 思い切りの慟哭の後、 我に返ったら、やっぱり恥ずかしかったです。
子供の頃から人を笑わせるのが好きで、 結構いいとこのボンなのに、親に反抗して 売れないお笑い芸人稼業を続けるヨンギ (イ・ジョンジェ)は、 子供服の店を経営する妻ジョンヨン (イ・ヨンエ)と2人暮らしです。 息子もいましたが、小さいうちに亡くしてしまいました。 妻は、夫が何とか世に出られるようにと 内心応援してはいますが、 なかなか素直になれず、けんかが絶えません。
ジョンヨンは重い病気に侵されていましたが、 人を笑わせる仕事のヨンギの心に 負担をかけるのを恐れ、ひた隠しています。 が、仕事がうまくいかないことと、 ジョンヨンのつんけんした態度にイライラしていたヨンギも、 妻の病を知るところとなります。 そこで、 高価な漢方薬を「ギャラがわりにもらった」と偽ったり、 断絶状態の自分の両親と妻の仲を和解させたり、 まどろっこしい方法でジョンヨンへの「思いやり」を示しました。 また、(売れないなりに忙しいので) 人に頼んで、妻が久しく会っていない懐かしい人々、 殊に小学校時代の初恋の男性を探させたりもします。 ジョンヨンはジョンヨンで、ヨンギのために 業界のエラい人の奥方に取り入ろうとしたり、 地道な「営業」活動をしていますが、 そんなそぶりは、もちろん露ほども見せません。
そんな、本当の気持ちのすれ違う生活の中、 ヨンギはお笑いコンテストに出場し、 順調に勝ち進んでゆきます。 しかし、一方のジョンヨンの病状もまた 進行していくのでした。 そして、決勝まで勝ち進むヨンギと、 しんどい体をおしてそのステージを見つめるジョンヨン。 勝敗の行方は? そして、ジョンヨンは初恋の人に会えるのか?
どこか、O.ヘンリの※『賢者の贈り物』を思わせる 美しき皮肉が実によく効いていました。
どうして病気だってことを黙っているんだい! だって、あなたに負担をかけたくなかったから… ばかだなあ、君の苦しみが僕の苦しみなんだよ。 おお、ヨンギ!
↑とまあ、某国のロマンスもののような、 こういう展開にはなりません。 そのじれったさが涙を誘います。
また、最初は詐欺としてヨンギに近づいてきたのに、 行き掛かり上、 ジョンヨンの初恋の人を探す手助けをさせられる お間抜けな2人組が、 なかなかキャラクターが立っていました。
※おせっかい解説『賢者の贈り物』 貧しい夫婦がクリスマスプレゼントを贈り合うために、 お互い最も大切にしている物を売って金をつくることから生まれた なんとも皮肉な結末を、夫婦愛にくるんで描いた 温かな物語でした。 病気の画学生と年老いた画家との心の交流が悲しい 『最後の一葉』と並んで、あまねく知られているであろう O.ヘンリーの名編です。
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