86 16年間消された島 |
引き続き戦争の話をしよう。 8月14日の読売新聞に「16年間 消された島」という題の文章が掲載されていた。これはとても興味深い内容だった。 瀬戸内海に浮かぶ大久野島(広島県)は地図から消された島だった。58年前に終戦を迎えるまでないことになっていた島だというのだ。1929年、この島に旧日本陸軍が毒ガス製造工場を建設し、16年間に渡り毒ガスをつくり続けたらしい。そう、機密を漏らさないために地図からも消されたのだ。 このことを知って衝撃だった。これが戦争だ。地図から島を消すことが戦争の一つの手段なのだ。当時の地図と今の地図が比較で載せられているけど、そうして比べてみると、当時の島の載っていない海になってしまっている場所がとても不思議に感じる。地図に載っていないというだけで、本当にないみたいだ。哀しい。 「赤筒」と呼ばれた毒ガス約65万本は、今でも島の各地の防空壕に埋められたままらしい。定住者はいないが、夏には海水浴場やキャンプ場がにぎわうという。 戦争の爪あとは58年たった今でも残り続けている。
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2003年08月19日(火)
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