Deckard's Movie Diary index|past|will
クローネンバーグ、エゴヤンに続くと云われているカナダのデル・ビルヌーヴ監督の『渦』。この映画はカナダの主要な映画祭のグランプリを独占した作品で、監督の個性が強烈に映像化されています。だから、とても面白いです。その個性が好きか嫌いかで評価が分かれますが、一見の価値はあるでしょう。観ている最中から日活ロマンポルノやATGの傑作、さらに今村昌平あたりに通じる空気を感じてしまいました。ブティック経営が破綻しかけている大女優を母に持つ25歳の女性。ある日交通事故で中年男性をはねてしまうが、やがてその男性の息子と恋に落ちてしまう。どうでもイイような話です。しかし、その才気溢れる演出と水のイメージが重なって、観ている者を渦の中に惹きこんでいきます。カナダ映画ですがケベックが舞台なので仏語が交わされ、その仏語の音感もまたこの映画を妖しいものにしています。音楽の選択は、ちょっと狙いすぎてハズしているような気がしました。
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