蜜白玉のひとりごと
もくじ|かこ|みらい
降り続いていた雨がやむと、あたりはすっかり秋だった。うれしくなって、仕事場まで一駅ぶん歩いていった。
風に向かってぐんぐん歩く。顔を上げると、つめたい風に頬がひきしまる感じがする。伸ばしっぱなしの髪が風になびいて、襟足のあたりがさらさら気持ちいい。高い高い空、柔らかい光、澄んだ空気。
ああ、秋だなあ。
すれ違った小学生は、「おかあさん、ふゆみたいだね」だって。そう、今日の秋はちょっと行き過ぎ。
そう言えば、私の持ち物には秋色のものが多い。とろんとしたロイヤルミルクティー色のスカート。こっくりとしたマホガニー色の柄の傘。ココア色の文字盤の腕時計。枯葉色の鞄。これら全部を一度に持つと、私は秋の景色と同化してしまう。
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