蜜白玉のひとりごと
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天気がいいと外で食事をしたくなる。ひさしぶりに、キャンパスのベンチに腰かけて、ラズベリーとりんごのパイを食べ、カプチーノを飲んだ。そんなことをしてしまうと、今でも学生のような気分になる。おっと、危ない危ない。私は働いているのだ。
目の前をたくさんの学生が通り過ぎていく。私もほんのちょっと前まであの中のひとりだった。学生時代、あれだけ広いキャンパスにあれだけたくさんの人がいて、男も女も選びたい放題だった(ちょっとひどい言い方だな)。気の合う男の人なんて簡単に見つかりそうなものなのに、それでも私にはとうとう見つけられなかった。
キャンパスでたくさんの仲間に出会い、親友と呼べる人たちに出会い、個性豊かな先生方にも出会った。だけど、どういうわけだか、たったひとりの男の人には出会わなかった。数がいればいいというものでもないらしい。その人は、全然別のところにいた。私のわりと近くに、それもずいぶん前から。
秋空の下、ベンチに座って行きかう学生を眺めながら、そんなことを考えていた。 ** TODAY 'S BGM ** The Cranberries / Dreams
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