蜜白玉のひとりごと
もくじかこみらい


2002年06月08日(土) 愛もしくは執着

カンカン照りの下、渋谷の雑踏を通り抜けて、Bunkamuraル・シネマにて『エトワール』を観た。行こう行こうと思っているうちに、公開から2か月が過ぎてしまった。早い時間だったからか、週末のわりには混んでいなくて、客席は広々としていた(観終わってロビーへ出たら、次の回は満席になっていた)。

『エトワール』はパリ・オペラ座バレエの内部を描いた映画だ。パリ・オペラ座バレエは世界を代表するバレエ団のひとつで、そこには独自の階級社会がある。カドリーユ、コリフェ、スジェ、プルミエール・ダンスーズに続く最高位が、エトワールと呼ばれる。映画は、ダンサーや教師へのインタビュー、日常のレッスン風景、舞台のリハーサル、本番直前の楽屋、そして本番中の舞台そでの様子などで構成されていた。普段はめったに見ることのできない場面ばかりだ。もう、目が離せない。

完成された華やかな舞台を見るのもいいけれど、普段のレッスンは、舞台とはまた異なる美しさをもっている。『エトワール』を観に行ったのも、この「普段の様子」を見たかったからだ。高校生までバレエをやっていたけれど、その時も、年に一度の発表会や他の教室の手伝いで出る舞台よりも、いつものレッスンの方が何倍も好きだった。自分のレッスンはもちろんのこと、その後に始まる上級クラスのレッスンを見るのも大好きだった。あの、優雅でありながら、ピリッとはりつめた雰囲気が、気に入っているのかもしれない。それに、きらびやかな衣装よりも、ちょっとボロボロしたレッスン着に愛着を感じる。書きながら思う。たぶん私は普通のバレエファンとは全然違うだろうな、と。

そう言えば、昔使っていたトゥ・シューズはどこへ行ったんだろう。捨てたはずはない。…そこいらを探してみること約10分、見つからなかった。今まですっかり忘れていたのに、バレエの話をしていたら、にわかに恋しくなってきてしまった。こうなったら、明日は家中ひっくり返して、トゥ・シューズ探しだ。


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