蜜白玉のひとりごと
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週刊プレイボーイの「まるごと1冊AKB」を探しに行ったアトレの本屋さんにて、絲山秋子の超然3部作『妻の超然』と、川上弘美の句集『機嫌のいい犬』を買う。「きのう何食べた?」の最新刊はまた今度にする。
普段イトヤマさんの日記を読んでいるから、この超然3部作は単行本が出たら買おうと思っていた。「妻の超然」「下戸の超然」「作家の超然」の中編3作が収められている。執筆後半は修行のようだった、ともおっしゃっていたけれど、どれもおもしろく読んだ。批評で注目されやすい「作家の超然」より「妻の超然」にひきつけられるのは、私もまた「妻」であるからだろうか。私は今のところまったく超然とする場面などないが、小田原のマンションの一室で、正座して今日のお題をこなす彼女の心持ちがわからなくもない。何の前触れもなくちょっと脅かし気味に、男はねえ、女がすべてわかっているということがわからない、らしいよ、と相方に言ってみる。え、こわーい、とかわいく返された。何やってるんだか。超然からはやはり程遠い。
川上さんのは過去に作った俳句をまとめたもの。俳句をやっている(いた?)のは知っていたけれど、作品は読んだことがない。句集は1ページに2句だけどーんと大きな文字で印刷されている。これを買うのかどうなのか少し悩んだものの、味わいがあるかといえば大いにあるので買うことにした。
川上さん特有のユーモアと言葉選びのおもしろさが好きだ。たった1行でこんなに情景が広がり、記憶が立ち昇るのだから、さすがというところ。適当なページをパッと開いて、1句読んでしみじみかみしめて味わう。スルメのようだ。本棚に1冊あるとおいしい。
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