東京とは思えないほどぽっかりと開けた寒空の下、畑の脇道を歩いて思ったこと。あったことが書きたいんじゃない。自分の目に映ったことのうちの、どれかひとつにずずずずっと寄って、そのとき言葉にはならなかったものにじっと目を凝らしたい。思いをはせたい。あれはいったいなんだったのか。とらえどころのないぼんやりとした気持ちと、たぐり寄せられない言葉とのすき間を埋めたい。