蜜白玉のひとりごと
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もっと本を読みたいと切実に思う一方で、この集中力のなさはどうだろう。それも年々ひどくなっている気がする。本、特に小説を浴びるように読みたい、読みたいと思いつつも現実には数冊しか読んでいないので、その読んでなさ加減をごまかすように次々と本を買ってしまう。本棚にはいつ読まれるとも知れない本が一冊また一冊と並べられていく。
小説を読んでいてもその世界にのめりこめなくなった。がっかりである。いつからこんなことになってしまったのか、20代の頃のどっぷり感に比べたら、もうとんでもないくらいの他人事である。数行読んでは本を置き、数ページ読んでは本を閉じ、そんなぶつ切りの話を常に傍らに置いていられる気持ちの余裕がない。こちらから出向くのか、向こうから歩み寄ってくるのか、どちらであれ、こんなにも自分と小説との距離ができてしまったことがつまらなくて悲しい。今はただ、小説の背表紙をじっと眺めているだけだ。
高校生で宮尾登美子を読んだときのような衝撃、あるいは大学生で江國香織を読んだときのような愛着を感じることはもうないのだろうか。
あれから日常生活に作り話を組み入れることができなくなっている。まだまだ私は小説に引き寄せられたいのに、かろうじてしがみついている現実を見失ってしまいそうで、できないでいる。作品ひとつひとつのせいではたぶん、ない。なんとか小説との新しい付き合い方を身につけたい。
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