蛍桜

≪BACK TITLE LIST NEXT≫

カミソリくん
初めて腕を切ろうと思ったきっかけは
感情的な部分が大きかったけど
いざ腕を切るときは

「痛くないって聞くけど本当かな」

って半信半疑でカミソリを腕にあてた

私がいつも腕を切っていたのは
人の皮膚を出来るだけ傷つけないように
安全加工されていたカミソリで
結構強い力で腕の上に押し付けて引いても
鈍い痛みしか感じないものだった

別にこれが好き、とかじゃなくて
常に持っているものがこれだったっていうのが大きいけど

痛くない、っていうのは
ちょっと本当だった

初めて切ったときは、感情的になってたから
痛さよりも、悔しさや憎悪が大きくて
そんなこと、あんまり気にしなかった

安全加工されてるカミソリだったから
さっくりと切れるわけでも
血がたくさん溢れるわけでもなく
力いっぱい切っても破線状に切れるだけだった
肉との相性は悪いから
カミソリに肉がついてくるのが難点
多分さっくり切れたほうがもっと痛くないと思う

もちろん傷跡も、破線状になるから
普通のリスカとは違って
故意的につけた傷だっていうことには気づかれなかった

初めてお姉ちゃんに
「その傷何?」って聞かれたときも
「猫が木の上に上って降りれなくなってたのを助けたときに引っかいた」と言ったら納得してくれた(多分)

私は、リスカをしていながら自分を守っていたんだと思う
もともと死にたいから腕を切ってたわけじゃないし
血を見たいから腕を切ってたわけじゃない
(まあ血が出るにこしたことはないけども)
そんな私には、人に優しいこのカミソリはちょうどよかった
常に持ち歩いていたりして
気がつけば、化粧ポーチの中に4本貯まっていたこともあった
(空港の荷物検査で不審がられた)

そんなカミソリくん

はじめこそ、感情的になっていて痛くなかったけど
結構地味に痛い子
ざっくりいかないから、鈍い痛み
後からじわーって血が滲んできて
空気に触れて、ひりひり痛い

でも傷跡はそんな深くならないから
1年もすればぱっと見、分からないくらいになる

だから今の私にはその傷跡は無い

私にとって腕を切ること、に値することが
今の生活にはあるってこと

でもそれが何なのか、分かってない

しばらくカミソリくんと会ってないな
2009年09月16日(水)

≪BACK TITLE LIST NEXT≫

 

My追加メール

My追加

enpitu skin:[e;skn]

 

Copyright (C) 蛍桜, All rights reserved.