蛍桜

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優しさを持ち合わせていない

3月16日のお昼に、千葉であった震度5弱の地震から
少しだけ精神が不安定になってた。
全身の震えが止まらない。
いつものごとく会社に居たけど
仕事が全く出来ない。
家に帰ると元通りになったけど、被災地の人たちは
もっと恐怖に怯えているんだろう。



なんの流れだったか忘れたけど、
預言者のブログにたどり着いて
その人のブログを読んでみると
今回の地震を予言していて
次は相模湾だ、というようなことが
書かれていたあたりから、動悸は激しかった。

もちろんそのブログを100%信じていたわけでもないけど
明確に「次は自分だ」と考えたからかもしれない。

ちなみに、遠いところから客観的に見ている自分が居て、
「これが宗教の始まりなんだな」と感じていた。
半分は冷静だった。

周りには冗談で、「入信しそうだよ」と言った。
みんなバカにした。

でも、宗教に縋る人の気持ちは、よく分かった。
はじめて分かった。


そのブログで、4月に大きな地震がもう一つ来ると書いてあった。
その時の私は不安で仕方なかった。

だから、3連休は香川に帰った。
「今のうちに揺れてくれ」と心のどこかで願っていた。

帰っている間に、茨城で震度5強の地震があった。
だけど実際香川で地震速報を見たときは
心臓が押しつぶされそうなくらい怖かったし
なんだか申し訳なかった。
それなのに帰りの車の中でも、
私が神奈川に到着するまでに全ての悪夢が完結することを望んでいた。

猫は香川に置いてきた。
もし本当に大きな地震が関東を襲って
被災することになったら。

配られたおにぎりの半分を、猫にあげる覚悟はある。
猫のために頑張る覚悟もある。

だけど、現実問題、難しかった。
避難所は猫を受け入れないかもしれない。
受け入れたとしても、猫にとって、そんな状況は好ましくない。
香川にいるのが一番安全。
猫が被災しないで済むなら、それが一番良い。
そういう結論に至った。

今は猫が居ない生活が、寂しすぎる。




昨日、茨城に居る知り合いにメールを送った。
11日にも一度送っていて、
「大丈夫だよ」ってメールが来て安心した。
でも後から、あ、迷惑だったかもしれないと我に戻って
それ以来ずっと送ってなかった。
茨城は報道されていないけど、電気ガス水道が使えない時期が
長く続いていたようだったから
電気が回復するまでメールを控えていた。
それで昨日、メールをしてみた。
「もう電気は通った?いつでもうちの家使っていいよ」と。
返ってきた答えは
電気はもう通じているとのこと、
実家に避難しているとのこと、
心配ありがとうっていうことだった。
少しは普段どおりの生活に戻れているようで、安心した。

そして、そのメールに返信した。
「いつでも頼ってね」と。

知り合いからの返事は
「落ち着いて、ガソリンが手に入るようになったら
ボランティアに出かけるよ」
ということだった。

そこで私はやっと気づいた。
私は、「何かをした気」になりたかっただけなんだと。

被災地である茨城の知り合いに優しい言葉をかけることで
自分を満たそうと思っていたんだと。
知り合いの心を優しい言葉で包む、
という理想像を押し付けていたんだと。
そのために利用してしまったんだと。

もちろん、知り合いから来たメールは冷たいものじゃなかった。
だけど、外から見ている私と、
中にいる彼の差が、よく見えた。

何時まで経っても私はずるい。
優しい言葉をかければいいと思っている。
ありきたりの優しい言葉は相手に響かないから
相手に響く言葉を常に探していて
意図的にそれを使おうとしている。
相手を思いやることが出来る自分が「いい人」だと思っている。
いつだって「いい人」で居たがっている。
形のない、「いい人」。

そんなのじゃ、誰も救われない。
救われるのは、自分だけで。

ずるい。

2011年03月23日(水)

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