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『サルの歌』 - 2003年02月04日(火) 橘いずみ、というアーティストをご記憶だろうか? 僕がまだ(かろうじて)20代前半くらいの頃、一時的に売れていた人だ。 尾崎豊と同じプロデューサーで、「女尾崎」とか言われていたっけ。 ここ数日、僕の頭の中で、彼女の歌がリフレインしている。 曲名は「サルの歌」 ♪寂しくなんかないんだよって、泣いてるのが子供 寂しい…と呟いて、涙隠す大人 と最初のフレーズを引用すれば、「あの歌か?」と想い出してくれる人もいるかもしれない。 僕は当時、今から考えたらまったく見込みの無い恋をしていて(いや、もし万が一、彼女とつきあえていたら、かえって僕の人生はボロボロになっていたかもしれない、と想像できるくらいだ)、相手の女の子は、かわいくて、傷つきやすくて、そして、他の男に恋をしていた。喜怒哀楽の激しい子だった。 彼女に橘いずみのCDを貸したとき、「この歌が好き」と教えてくれたのが、この「サルの歌」だったのだ。 「自分は人と違う」と無理に思い込もうとして、結局、「みんなと同じような他人と違うこと」をしてしまっていた、という内容の歌詞は、僕らの心に突き刺さってきた。それは、当時の僕たちそのものだった。 他人と同じだということが理由もなく許せなかった時代の話。 ♪爪を立てて引っかいたら 頭を撫でられ 素直になれと あのひとは 笑う このフレーズを思い出すと、今でもとても切なくなる。 行き場も無い、投げつけても跳ね返ってすら来ない、そんな感情をもてあましていた頃。 彼女が、今どうしているのかは全然知らない。 僕は、自分がまだサルなんじゃないかと、ときどき思う。 ...
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