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ハッピーエンド vs アンハッピーエンド - 2003年02月19日(水) ハッピーエンドとアンハッピーエンド、どちらが好きか? と尋ねられたら、ハッピーエンド、と答える人が多いのではないだろうか。 でも、実際に僕たちの心に残るドラマは、必ずしもハッピーエンドばかりではない。 むしろ、映画や本などは、アンハッピーエンドの割合が多いのではないだろうか? でも、創作を書いていると「ハッピーエンドが好き」とか「読後感が良い」というような感想をいただくことがある。だからといって、完璧にハッピーな話というのも、それはそれで嘘臭くなってしまいがちなものなんだけれども。 もう20年くらい前だろうか「アスピック」というRPGがあった。このゲーム、当時はまずまず売れたのだけれど、たぶん今の人はほとんど記憶にないだろう。 このゲームは、いわゆるウィザードリー系のダンジョンRPGなのだけれど、なかなか難易度の高いゲームで、クリアするのに何十時間もかかるのだ。もちろん、当時のゲームとしては平均的なものなんだけれども。 さて、このゲームのエンディングには、とんでもない仕掛けがある。 <以下ネタバレなので、これから「アスピック」をやる予定がある人は注意!(いないか…)> 大ボスである、不死身の蛇王アスピックを倒した主人公は、意気揚々と城に引きあげる。 ところが、王は、約束であった姫との結婚も認めてくれず、主人公を邪険に扱う。 そこで、怒った主人公は、城を荒らし、もともとアスピックが住んでいたダンジョンに立てこもるのだ。 そして、気がついたら、いつのまにか主人公はアスピックになっていた… まあ、当時のゲームのストーリーとしては、よくできた話なのではないかと思う。 しかしながら、このエンディングは、当時のゲーマーからはすこぶる評判が悪かった。 「なんで、何十時間も苦労した挙句に、俺がアスピックにならんといかんのだ!」と。 そりゃまあ、そうだよねえ。 そんなふうに考えていくと、どうも、人間というのは、自分が苦労するほど「ハッピーエンド」を求める、という傾向がありそうだ。もちろん、その作品に対する愛着というのもあるのだろうけれど、映画や書物よりも、時間と手間のかかるゲームや「自分からわざわざ探して読んだ」ネット上の文章に対してのほうが、ハッピーエンド欲求率が高そうだ。ただ「観ているだけ」でいい映画では、哀しい話でも十分許容できるのに。 人間というのは、あまり自分に関係なかったり、感情移入できない悲劇に対しては、けっこう淡白なものなのかもしれない。 他の国で事故で知らない人が100人亡くなることよりも、自分の飼い犬の病気のほうが哀しいし、それは、生きていくための自然な感情なんだろうから。 ...
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