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| 2004年09月03日(金) |
恐ろしく長文の『ミス・サイゴン』感想文 |
マチネがサイゴン、ソワレが『I Love You 愛の果ては?』。 感想をゆっくり書いてても15時半には帝劇を出てしまい、 次は渋谷のParco劇場で19時開演。時間余りすぎ。 せっかくだから献血して、ついでに友人に感想でも 送ろうかと新しく出来た献血ルームに入ってみたら、 無料ネットはおろか、本の1冊、新聞の1部も置いてない。 成分じゃなく全血にしたから実際にはそう長くなかったけど、 携帯も使えないし、ものすごく待たされた気分でした。 こんなことなら行きつけの献血ルームに行けばよかった。 でもそういえば最近、読みかけの本を持ち歩いてないなぁ。
さて。多分、今日の感想の大半はサイゴンで終わります。 今月半ば以降は仕事のため観劇ストップするので、 5日の友人とのデート(自分的には観劇ではない)を除けば 最後のサイゴンとあって、とにかくまだ観ていない人たちが 多いという意味で選んだ回なので、話したいことが多いから。
『I Love You〜』はE列11番だったんだけど、魔の席で、 さすがに招待席となる、思いっきり役者さんの目の高さ席。 ただでさえ大人な男女関係な舞台で、時々 微妙な気分で 観ているのが恥ずかしくなったりするのに目が合っちゃう。 さらには通路際で、ついでに反対側の隣は空席という、 目立つ席だったので、通路を歩いてきた絵麻緒さんには 離婚したなら「♪お祝い返せ〜!」と詰め寄られました。 あまりの迫力だったので、思わず「わ・・・私じゃない!」って、 こっちも本気で、ふるふる首を振ってしまいましたが(苦笑)
『ミス・サイゴン』
<席番>C列35番(サブセンター、センター側通路席) <出演>橋本さとし、笹本玲奈、坂元健児、岡幸二郎、 高橋由美子、tekkan、高島みほ、内田祐希(タム)ほか <指揮>塩田明弘
さてさてサイゴンでございますが。 今日お初の人が、橋本エンジニア、玲奈キム、坂健クリス、岡ジョン、 高橋エレン。ちなみにtekkanトゥイも初日以来なのでほぼ初見。 これで4エンジニア、4キム、3クリス、3エレンは全員クリア。 既に出演組では今井ジョンと杵鞭ジジだけ観ないで次は10月。 (2幕だけ観た日が杵鞭ジジだったはずですが、意味ないし。) 個人的には、4回観劇ですごくうまく、ほぼ100%クリアした気分。
今日のポイントは、キムで泣けたこと。 いやもうビックリしたね。ほぼ投げてたもん、キムを観ることを。 1幕は17歳にしてはあまりに子供子供してるのが気になるけど、 その、いかにも痛々しい少女っぷりに、つい「守ってあげたい」 なんて気分になってしまうので、クリスの気分にも共感させる。 少しまた痩せたのかな?固さもあって、とても好き。
こんな仕事は、すごーく嫌だけど、でも働かなくちゃいけないし、 それなら、「こんな事してちゃいけない」と言ってくれた人に、 「この人なら」と決意して一夜を過ごして。初めての人ということで 思い入れも強くなったところで「一緒に暮らそう」なんて言われたら、 そりゃ頼る人とてない女の子としては、運命かも!なんて無邪気に 思っちゃうのも仕方ないのかなぁってストーリーが嫌味なく見えた。 クリスに「お前も嘘をつく女なんだな」扱いされた瞬間、いきなりの 身の上話も「何を言えば信じるのか知らないけど、私は違う!」 という はねつけ方も、潔癖さや頑なさを感じさせて、分かる。
それが3年後になったら、折れそうだけれど強くなっているし。 「女」にならず、「少女」のまま「母」になったような印象の強さ。 「あいのこ」である幼子を抱えて、どうやって独りで3年も 逃げ延びてきたのか分からないけれど、いろいろあったんだろう。 どんどん落ちていき、ついには人殺しまでして生きてきたのは、 ただ、タムがいたからなんだなという日々を想像できたから、 クリスと会いたいのは、自分が恋しいからというよりも、タムを 引き取ってほしいからという話に繋がるのがようやく理解できた。 ふう。やっと『ミス・サイゴン』という話のスタートにたどり着けたよ。
相手役だった、坂健クリス。 人を愛することにかけては、とても優しくて素敵な感じでした。 つい守ってあげたくなるキムだったせいも多分にあると思うけど、 「あなたまでそんなことを言うのね!」とパーンとはねつける姿に、 思わずビックリして ほだされ「一緒に暮らそう」なんて言っちゃって、 抱きしめているうちに本気で愛しくなってきちゃった、流されやすい 単純で素直な、割と純朴系のクリスという姿は、なかなか好き。 ♪世界が終わる夜のように だっけ?タイトル覚えてないけど 2人のデュエットも、ラブラブでいい雰囲気だったし。
でも、悩んでねーだろ、お前。(苦笑) ♪Why God Whyとか、エレンに打ち明ける場面はダメにも程がある。 「国にもサイゴンにも空しさを感じていた自分に、唯一キムが真実に 思えた」というストーリーは、坂健クリスには全く存在してない。 ただそれに関しては、ドリームランドや♪Why God Whyさえ忘れれば たまたま出会ったその夜の娼婦にほだされた話としても通る。 問題はそうなると、エレンに対して何を告白するかってことで。 案の定、知ってるはずの歌詞がちっとも頭に入ってこない場面で、 エレンの苦悩がどこへ行けばいいのか、ものすごく困るクリス。
特に今回の高橋エレンが、すごく苦しむ役作りだったので、 余計にそのシーンの坂健クリスの浮き方はすごいものだったのかも。 キムが訪ねてくる場面、雑誌を読まずに考えて思い悩む彼女。 そこに突如現れた本人を、思いやろうとしても、その余裕がない。 「♪あの子の親はクリス?」なども、わざと訊いている感じが強く、 自分からクリスを奪うかもしれないと思っていそうな切実さがある。 それだけに、エンディングでタムに手を伸ばす場面が辛さを増すし、 女性としての共感度では、もしかすると一番高い作り方かも。
ただ、『ミス・サイゴン』という話全体にする私の好みからすると、 当然、クリスの子を産んだ女性に対する思いはあるとしても、 あくまでも上から見下ろす感じのANZAエレンの方が、 容赦なくアメリカとベトナムの壁が見えて、好きかもしれない。 あと、ソロを歌ってる間は顔が笑ってるように見えるのが嫌かなぁ。 それ以外のときの演技は一貫していてとてもいいのに勿体無い。
もう1人のアメリカ側、岡ジョンは、ある意味、すごく良かった。 登場した女おごる場面は、緑の兵隊服が やたら違和感で、 慣れずに演技まで感じられないうちに終わってしまいました。 2幕でサイゴン陥落の際も同じ衣装で、やっぱり違和感だから、 それはどうしようもないんじゃないかという気が結構する。 どうしてそんなに似合わないかって、岡さん自身にも 似合わないんでしょうけど、岡ジョンの作りが、どうにも 「高級官僚」に見えてしまうからなんでしょうね。多分。 そういう意味では、設定に反していて良くないんだけれど。
でもその他は絶品!めっちゃ腹立つんだもん。特に、クリスが 溶けまくって「♪(あの子は)蓮の花〜」とか電話してきた時の バカにしたような、ハッ!は絶品でした。思わず笑っちゃったけど、 隣の人も耐えられなかったようで笑いが漏れてて、ちと安心。 その時は、衣装も似合ってたな〜。坂健ジョンだと、何の服? という感じだった不思議な衣装が、いかにも前線には出ません って感じの士官服に見えて、細身の岡さんにめちゃ似合う。
1幕は「ハッ!」ぐらいしか目立った部分はなかったけれど、 2幕入って♪BUI DOI。いや〜ムカムカしましたわ。素敵。 見事にスーツを着こなした政治家一族のような雰囲気で。 まさに上流階級というか、こんなに「ゴミくず」が響いてくる ♪BUI DOIって、あまりないんじゃないかしら?って感じで。 その後、クリスが現れたんだけど、彼がまた見事に庶民で、 どう見ても純粋白人じゃないもんだから「僕はこんな人とも 友人なんだよ」って、政治家のパフォーマンス状態(苦笑) エンディングまで一貫しての嘘臭さは、本当に見事。
最後は、評判の橋本エンジニア。 想像と全然違って、すごく可愛かった。かっこいいんだけど、 映像で見せてくれてた あの怪しさはどこへ?で素直さいっぱい。 開演前の恒例、エンジニアのご挨拶も、やたらに軽く明るい。 「では、ミスサイゴン全5時間、お楽しみ下さい。・・・嘘ですよ〜」 とか言っちゃって、周りからも「軽いねぇ」との声がボソボソ。
どうしたらこの環境でこんな奴が育ったんだと感動するほど、 可愛らしく純粋にアメリカに行けることを信じてるんですね。 ♪生き延びたけりゃ の「最初はバンコク、それからアメリカ」でも その実現を露ほども疑ってない。いきなり「あれ?」って言うから 何?どうしたの?って思ったら、「♪ビザがない〜」だって。 今気付いたんかい、おまえは!って感じで、笑っちゃった。 収容所から出られただけで何でもできる気になってたのね。
正直、こんなエンジニアってありなの?と、 ちょっと頭を抱えてしまわないではなかったんだけど、 見事に暗さがなくて前向きなエンジニアの存在は、 もしかすると、深刻に悩んじゃう一孝クリスとか、いつも 眉根にしわを寄せて苦しんでいる感じの知念キムとか、 (観てないけど)重さ爆発で妙に誠実っぽく感じてしまうらしい 今井ジョンとかと組み合わせると、話の中の救いになるのかも。 狂言回しっぽい感じになるのかな?今日の組み合わせだと、 面白いんだけど、時々無性に違和感を感じて嫌だった。 上手側前方席に座っていると、バンコクで現れた時なんか、 「これ似合ってます?」話しかけられ、思わず拍手すると 「ホント?」なんてやり取りができて、ちょっと楽しかったけど。
tekkanトゥイは、二度観ても印象が薄くてよく分からず。 カーテンコールは、さとしさんが、今日が初日の2人をセンターに 連れて行ったりして、ちょびっとイベント気分で楽しかったです。 とりあえず、文句はあれど、初めてキムで泣けて割と満足できた 観劇でした。残りチケットは8回中5回玲奈キム。当たりかも。 後は、筧エンジニアを増やしたいな〜。個人的には一押し。
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