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| 2004年09月23日(木) |
『浪人街』(WOWOW放映分) |
すごい前評判高かった舞台ですよね。 豪華キャストに、衣装:ワダエミ、音楽:坂本龍一。 そんなふうに言われて少し惹かれはしたけれど、 なんか後一歩やる気にならなくて観なかった舞台。 結果、評判もあまり良くなかったし観なくて納得してたけど、 せっかくWOWOWで放映してくれるなら、ちょうど 唐沢さんなモードに入っているしと、観てみました。
<脚本>マキノノゾミ、<演出>山田和也 <出演> お新(居酒屋「いろは」看板、巾着切り):松たか子 新牧源内(お新のヒモ、元剣術指南役):唐沢寿明 母衣権兵衛(お新に片思い中の浪人):伊原剛志 赤牛弥五右衛門(酒と喧嘩好きの浪人):中村獅童
藤兵衛(「いろは」主人、お新の育て親):田山涼成 佐吉(「いろは」使用人):木下政治 おぶん(佐吉の恋人、孫左衛門の妹):荻野恵理 土居孫左衛門(国広を売り飛ばした浪人):奥田達士
小幡伝太夫(徳川直参旗本):升毅 小幡七郎右衛門(伝太夫の弟):鈴木一真 近江屋幸兵衛(悪徳商人):花王おさむ
千鶴(源内と同郷で、夫の仇と狙う):田中美里 有村一馬(千鶴の義弟):成宮寛貴
他、アンサンブル40名弱(だったと思います)
やっぱり¥12,500で観なくて良かったと思った。 原作は多分、すっごくマキノノゾミ好みなんだと思う。 無頼の浪人たちが それぞれの思いでかっこよく生きてる。 女に巾着切りさせた金で女遊びしてまわってる源内や、 真剣に生き方考えちゃって、清河八郎(!)らとともに京に 上ろうとか考えては赤牛につまんない奴扱いされる母衣。 酒と喧嘩だけで人生やってて、マジで源内と戦えそうだと 思ったら、嘘ついてお新を捉えさせることも抵抗ない赤牛。
本当は彼らがガーーッと盛り上げて、敵役のさすがの 悪人っぷりも鏡のように映えて、主役のどうしようもない その日暮らしの浪人連中にベタ惚れして貢いだり 仇のはずが惚れちゃったりする女たちが彩りを添え、 旗本様は生活に倦んでいて、夜鷹を斬って回るわ、 生活のために先祖伝来の刀を売ってしまい、それを 取り戻して宮仕えするため人殺しする武士とかがいて、 時代の雰囲気を見せたりするような話なんだと思う。 きっと本来は、超エンターテイメントな新感線ノリな話。 それなら私だって見てみたいなぁと思うのですが。
それぞれのキャラがね、どうも薄いんですよ。 舞台化するに当たって、群像劇っぽいところを切り捨て、 松&唐沢の話に焦点を合わせようとしたんだろうけど、 その2人がまた、恋愛にちっとも向かない演技なのも辛い。 松さんは『おはつ』で、恋愛話もすごいかもと思ったけれど、 やはりこの人は、自分に指向性のあるキャラが強いようで、 「相手がどんなであっても惚れてる」という色気はない感じ。
ただ最後の方で、数百人の男が待ち構えている状況で、 「それでも勝てる男でなきゃ、お新が惚れるものか!」 みたいな台詞を吐いて、ちょっとビックリした。もしも 最初からそういうキャラなのなら、松たか子で納得する。 でもそうは見えなかったんだよね〜。どうもボケてた。 唐沢の方にも、そこまで惚れさせるような ぞくぞくする 強さが感じられなかったってのも敗因なんだろうけど。
良かったなと思ったのは、母衣と2幕の赤牛。 伊原さんは本当に殺陣が上手いし背も高い分迫力もあり。 生真面目すぎる青年役も、かわいげになるのは得だよな。 獅童は、1幕は暴走っぷりと、素っ頓狂な声の出し方が うざったかったんだけど、2幕で1升酒を一緒に飲むうちに 七郎右衛門に気に入られ、食客(だっけ?)扱いとなり、 お新で源内を誘き出す作戦を思いついた辺りからがいい。 何度も喧嘩を売ってはスルスル逃げられてきた強い男と、 マジで喧嘩できるかもしれない喜びにいきなり輝く赤牛。 でも、源内が大勢と戦ってボロボロになってるとこ見てたら、 いとも簡単に寝返って、彼らが逃げる しんがりを申し出て、 山のような敵と楽しんで戦って、死んでっちゃうのよね〜。 一番この作品らしい、おいしいとこどりのかっこ良さかも。
多分その、源内から母衣、赤牛へと続く、 むやみやたらと血しぶき水しぶき浴びる長い長い殺陣が、 一番の見せ場だったんだろうし、生で間近で観ていれば、 かっこいい豪華俳優たちが きれいな服着て決め台詞はいて、 殺陣やってれば、それだけで満足して帰れるのかもとも思う。 でも少なくともテレビで観ていた私には、それだけじゃ カバーしきれないほど、脚本が不出来だと感じられた。 勿体ないなぁ、これだけのキャストや原作、金かかった衣装、 40人近いアンサンブル。もっとずっと面白くできたろうに。 マキノノゾミ作品にいつも思う「発想はいいのにねぇ」で 終わってしまった作品だという感じでした。
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