ねこや  ネコヤシキ日

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2003年04月13日(日) 映画で見ているもの

『小さな中国のお針子』を見に行った。

絵もお話もきわめてうつくしかった。思い入れをこめてすみずみまで丹念に、実直につくられた作品だと思う。堪能。それなのにまあ、観客は3人だけ。もったいない。私はまた観るかもしれない。

撮影地、キャスト、言語、すべて中国なんだけれど、中国映画というよりもシノワ映画とでもいいたいかんじ。つくりがどこか中国ばなれしていて、フランスからみた中国みたいなのだ(って私がいうのもヘンだけど)。

ロケ地の風景。こんな場所がほんとうに地上にあるのだなあ。この現場をみるためだけに中国の奥地に行ってみたい、と思った。物語については、言い尽くせない。割愛。

    ◆

つい昨日のことだが、数人でお茶をしていて、「(夫婦などで)同じ映画を見ても全然ちがうところを見ている、おもしろいねえ」といった話をしたところだった。

そのときは『初恋の来た道』という中国映画の話題になったのだけれど、感動して泣いたという人もいれば、あんなのは全然…という人もいた。それから、音楽がどうとか文化大革命がどうとかいう人もいるようだった。私はこれを観たとき、泣きはしなかったが、しばらくこころに残るものがあった。

同じく「感動した」といっても、その感動のなかみも、人によって違うんだなあ。ほんとうにおもしろい。私の場合は、まず、人の表情とか衣装、器や料理、風景などの、配し方の行き届いていることとか、映像や音でもって描き伝えることの巧みさとかに感動している部分があるみたい。

描かれている人のありよう、生きようもこころに残っているのだけれど、登場人物そのものに感動するというよりも、そのように描き出す制作者たちのこころもち、感性、意志のようなものに感動している、のかもしれない。物語も堪能しているのだけれど、なんというか、物語になりきって味わっているのではなくて、どこか人間のつくりあげた作品として味わっているというか。


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