イレコミ音楽
DiaryINDEXpastwill


2002年05月22日(水) 「地球の声」選曲・監修/細野晴臣

「地球の声」選曲・監修/細野晴臣
「La Voix De Globe」HARUOMI HOSONO 1989

 細野晴臣さんの名前は昔から知っていました。学生時代、好んで聞いていたミュージシャンのアルバムに参加されてたり、なんと言ってもYMOでの活躍は有名でしたし、でも実際にこの方はどーいう人なのだろう?と興味を持ったのは、小樽の出来事にさかのぼります。

 北海道の港町小樽に大正時代に建造された石造りの銀行の廃虚がありました。折しもバブリーな時代、ホテルに改装される前の空間にて、ヘアーカットショーと音楽のコラブレーションのイベントが行われたのですが、その音楽を担当されてたのが細野さんだったのです。たまたま小樽へ遊びに行っててショーを見ることができました。その中で歌われた「アベ・マリア」。石造りの1、2階吹き抜けの造り、独特のノスタルジックな空間、しかも神聖な響きはその場所にピッタリ合うモノでした。時代や世紀すらワープしてしまったような感覚に陥りました。

 そんなある日こと、新聞の広告で、細野晴臣さん選曲・監修の「地球の声」という8枚組CD集が発売されるのを知りました。どーしようかな?と2万円以上だったので躊躇したのですが、小樽以来、細野さんの選曲にも、ナチュラルな民族音楽にも興味があったので買ってみることにしました。

 「地球の声」は世界各国の民族音楽を集めた8枚組、[ATAVUS 祖先][ELEGY 哀歌][Deja VU 既視][GAYA 恋歌][NEPENTHE 妙薬][TRANCE 恍惚][FIN 終末][CANDENDIA 律動]などのキーワード別の編成になっており、細野さんの詳しい解説も実に興味深く、選曲の感性も素晴しいものです。あまり話題になってませんが、かなりよく出来ていると感じます。

 特に印象に残っている曲は[ATAVUS 祖先]に入ってる「母の乳を飲んだ時」と「彼の歌と聞いたとき」パキスタン・カシミール地方の弦楽器ラバーブの弾き語り音楽、なんとも素朴で心揺さぶられてしまいました。その他にも歌だけのもの、各地の楽器だけのもの、儀式的なもの、SEだけのものなど、様々な地球の声が凝縮されてます。もちろん馴染みのある、ロシア民謡の「カリンカ」「黒い瞳〜ポシュカ・ポーレ」や、トルコの「ジェッディン・デデン」、スコットランドの「アメージング・グレース」などの曲が入っているのもウレシイのでした♪「黒い瞳」が流れてくるとテトリスゲームを連想してしまうのは私だけかな・・・(笑)

 このアルバム軍団を聞いていると、いいとか悪いとかいう枠を完全に超越して、あるがままを受け入れる〜という非常にナチュラルな気持ちになるのです。言葉で語らずとも、「地球の声」はいろいろな事を伝えてくれるアルバム集のようです。

 その後、あの小樽の石造りの銀行跡は、英国の建築家のナイジェル・コーツの手によって、「小樽ホテル」に改装されましたが、5年後、美術館に変わり、再び今では何も使われてない廃虚に戻っているそうです。あの「アベ・マリア」を聞いたのは、夢のようなバブルの一夜、一瞬の出来事だったのですよね・・・。でも今も、石造りのひんやりした空間や、音の広がり響きは記憶の片隅に残っています・・・じんわ〜り♪とね、すばらしかった。



追記(2009年9月)旧/小樽ホテルは現在、ホテルヴィブラントオタルとして営業されているようです。あのナイジェルコーツのカラフルな内装はガラっと変わってしまったようですが、手頃のな価格で宿泊できるようですし、金庫室にも宿泊できるとか!?私も再び宿泊したいものであります。


mee |MAILHomePage

My追加