Subterranean Homesick Blues...YANG(ヤン)

 

 

冒険へ - 2002年07月25日(木)

海岸から少し離れたところに小さな小島があった。
海にぽっかりと浮かぶ小さな島。
緑の木々に覆われ、自然の奇跡が生んだような
不思議な島。

これなら、たいしたことないだろう。
できるさ。
いつのまにか仲間の間ではそんな話になっていた。
俺たちは、何の準備もないまま、島へ泳いでいった。
島のまわりは、がけになっていて、登ることは不可能だった。
この島を一周しよう、泳いで一周しようということになっていた。

泳ぎには自信があった。
ごきげんに世間話をしながら泳いでいった。
そのうち、海は驚くほど深くなった。
底をのぞくと、はっきりとはわからない色んな形をした
岩や植物があり、今にも吸い込まれそうだった。

もちろん足はつかない。恐ろしさから、もう海の底を見るのは
やめた。顔をだし、空を見ていた。

やがて1時間がたち、島の裏側へと近づいていた。波は激しくなり、
スタートした陸地は消え、ほんとの自然の海が横たわっていた。

俺たちは急いだ。怖かったからだ。いつのまにか最初の勢いは消えていた。
もう戻ることはできない。
体力はまだあったが、休むことはできない、泳ぎ続けるしかない。

泳いでもほんのわずかづつしか進んでいないようだった。
かなりの時間がたった。
やっと、陸が見えてきた。
最後はどんなだっただろう。覚えていない。
俺たちは、陸にたどりついた。
3時間はたっていただろう。

恐怖感は消え去り、偉大なことをなしとげたという誇りが
心に芽生えていた。
陽気さがもどってきた。

俺たちは晴れやかな気持ちで島をあとにした。



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