沢の螢

akiko【MAIL

My追加

ご主人様
2002年03月09日(土)

自分の連れあいを、なんと呼ぶか。
ある年齢以上の女性なら一般的には、「主人」というのが多いのだろうか。そういう統計があるかどうか知らないが、私の見聞きした範囲は、そうである。
これは、口頭で話すときのことで、手紙や文章の場合は、ちょっと違う。私の場合、「連れ合い」「夫」「主人」「亭主」「同居人」「秘書」というのを、相手と場合によって使い分けている。このごろは「家人」というのもよく使う。元々は、男が妻乃至家の主婦を指した言葉らしいが、女が言ってもいいと思う。
日本語で、ずいぶんいろいろな言い方があるのに驚く。英語ならハズバンドの一語ですんでしまうのだろう。
最近の若い夫婦は、お互いを人に言うとき何というのだろうか。ひと頃は「パートナー」と言うのが流行ったが、最近はあまり聞かない。
「彼」「彼女」と言ったり、男なら旧来の「家内」「カミさん」というのも結構多い。「妻」という言い方は、あまりなじまないのか、たまに聞くと、ちょっと異質な感じがする。

連句の世界では、お互いをファーストネームで呼ぶ。「光男さん」「花子さん」という具合である。年に関係なく、まことに平等で、しかも、夫以外の男性から、ファーストネームを呼んでもらえるのは、新鮮でいい気持ちである。
ある時、急な連絡をすることがあって、仲間の男の人に電話した。出たのは、女の人だから、たぶん奥さんであろう。普通なら例えば、「青山さんですか」という風に、相手の苗字を確かめるところが、とっさに出てこなかった。いつもファーストネームを呼んでいるので、苗字が何だったか、ど忘れしたのである。あわてた私は、「・・さんをお願いできますか」と、その人のファーストネームを告げて、取り次ぎを頼んだ。すぐに本人が出てきて、用事は済んだ。
ところが、次に会ったとき、その人から「電話の時は、ご主人様とか何とか言ってくれた方が、家内に誤解されずにすむから」と言われて、びっくりした。
そんなに自分の亭主が、危なげな人だと思っているのだろうか、電話をかけたからって、どうと言うことはあるまいに、ずいぶん信用がないんだなあと思った。
私の連れ合いにその話をすると「まあ、それが世間の常識だから、ご主人様と言っておけば無難だよ」と笑っていた。
ちゃんと名前があるのだから、それを言って取り次いでもらう方が間違いがあるまいに、「ご主人様」とか「奥様」とか、曖昧な代名詞を使わなければならないなんて、ずいぶんおかしな話だ。
それ以来、私は、よほどのことでもない限り、男の人には電話しないことにしている。出てくるのは本人でないことが多く、手続きが面倒だからである。

2002年03月09日 00時37分26秒

Long and winding road.
今日はおもしろいテレビを見た。
アメリカで大型のRV車を生活の場として、旅して暮らす人たちが、増えているというのである。
大型観光バスの幅を少し広げたくらいのスペースに、家族4人ぐらいの生活必需品を積み込んで、広いアメリカを、気の向くままに旅して歩く。
ある夫婦は、子供が都会の生活になじまないことをきっかけに、自然の中で育てようと、二人の男の子を連れて、車の生活を選ぶ。学校に行く代わりに、車の中で勉強を教え、いろいろな人たちとの出会いを通して、子供に、ひととの関わりを学び取らせる。
また70過ぎの別の夫婦の場合は、妻がアルツハイマーの症状が進んで、車の移動が難しくなると、そうした移動生活者を対象としたケア付きの場所に移り、仲間の助けを借り、介護サービスを受けながら生活する。
高収入の仕事があるのに、あまりに忙しすぎて、家族との触れあいがない、今の生活を変えたいと、家を売り払って、家族一緒の旅の生活を選んだ若い夫婦など、興味深かった。そこにあるのは、共通して、人間らしい心の通い合いを大事にする人たちだった。
アフガンに乗り込んだ、ブッシュのアメリカとは違う人々の姿があった。今、こうしたキャンピングカーは、全米で1000万台もあるという。所々に、水や排水の設備を備えた拠点が出来ていて、専門の病院、いろいろなサービスも受けられるようになっているそうだ。
いかにも多様な社会を構成している、アメリカらしい話だと思った。
家とは何か、住まいとはどこか、家族は、そして人間のつきあいとは何かを、考えさせてくれた。そして、この生活の形が増えてきた大きな要因として、ネットの広がりがあるという。
移動生活者たちは、皆自分のホームページを持ち、同じような人たちとメールをやりとりしながら、互いに助け合い、行きずりの人たちと時にお茶会などもして、新しい形のつきあいを模索していた。そして、移動生活者たちの半分近くが、50歳以上の人たちなのだった。

2002年03月09日 23時01分58秒



BACK   NEXT
目次ページ