鬼が私を閉じ込める。
私は闇の籠の中。
鬼が私に跪く。
『愛しているよ』と祈りを口に。
私は鬼を見下ろして、
狂気を孕んだお腹を擦り、
一筋涙を零すのだ。
手をかける。
ドアノブに手をかける。
ふと思う。
自分は何を見るだろう。
扉一枚隔てた向こうは、地獄か否か。
例えば、この扉一枚向こうに望む悪魔がいたとしたら。
それは地獄か。
望んでいるのだから天国か。
悪魔と剣を交えることが望みだ。
悪魔と身体を交えることが望みだ。
悪魔と口付けを交わして、その舌を喰い千切るのが望みだ。
この身体が闇色に堕ちれば良い。
その官能が濡れ羽色であれば良い。
ドアノブをひねる。
そこに何が見えるのか。
真実だけが、在れば良い。
アナタを見てるよ。
そうして、あたしが一番じゃないことを思い出すんだ。
|