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■ 夏渡し
母が通った府立女学校は浅草にありました。 戦後共学の都立高校となり、後輩にはマンガ家の池田理代子さんもいるそうです。彼女の代表作のひとつ「おにいさまへ…」の舞台「青蘭」はこの学校がモデルで、今はもうなくなってしまいましたがサンジュストさまが煙草を吸ってた塔も実在したそうです。
母の在学中けっこうクセのある女教師がいて生徒から煙たがられていたらしいのですが、その後とある私立高校へ転任しました。しばらくしてから同窓会に招かれたときにこんなお話をしたそうです。
私は毎年桜の頃になると隅田川にきて、橋の上で小さな声で「花」(春のうららの隅田川…ですね)を歌います。それは東京大空襲で亡くなった生徒たちの供養と平和のありがたみをかみしめるためです。このことを今の生徒たちに話したら「先生おひとりには歌わせません、私たちも参ります」と言って一緒に来てくれるようになりました。私は時々前の学校のことも話すのですが、彼女たちはあなたがたを「まだ見ぬお姉様」ととても慕っているんですよ。
…さてこの一種感動的なエピソードを母たち同窓生がどう受け止めたかというと 「「花」ってとこが少女趣味よねー」 「げー誰がこんなのと歌なんか歌うかい」 「まだ見ぬお姉様…や〜め〜れ〜〜」 …だったそうです。つまり学校のカラーや生徒の自意識が、当時としては破格的にドライで合理的だったワケですねー。 あたしはこの話を聞いて、母やひいては池田センセイの人となりが少しわかったような気がいたしました。
2002年07月31日(水)
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