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2005年08月02日(火) ■ |
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物部日記・『ヘルレイザーは静かに十字を切り……』 |
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ヘルレイザー鎌足さんが隣に越してきて、二ヶ月が経った。 この頃家にいる時間が増えたので気付いたのだが、鎌足さんは夜中仕事に出て朝方帰ってきているらしい。この頃徹夜が多いので気付く。
私の住んでいる地区にはそんな労働条件の店あったっけ? とも思うのだが原付に乗っていく様をみればどこか遠くまで行っているのかもしれない、と気にならなくなる。いいなあ、原付。私もそろそろ自転車を卒業したい。 このごろ何かしらの用事で毎日三時間は自転車に乗っている。授業が終わればすぐに移動を開始して、たっぷりと夜が暮れたころに帰り道。昼ごはんと晩御飯は自転車の上で取っている。
移動手段が欲しいよう。
そんな生活をしていたせいか、前輪と後輪が同時にパンクするという事態に陥った。あまりに酷使しすぎてタイヤが磨り減っていた。 だって、自転車のタイヤって靴を履き潰す感覚で潰れるもんじゃないでしょう? なんだこれ!
まいった。
しかしその地点からまだ一時間は自転車をこがなければならない。 パンクしてがたがたの自転車でありながら、私は構わず乗り続けた。
こ、漕ぎづらい。
傍から見ると危ないことこの上ないふらふらな自転車。
私はその晩、生死の境をさまようことになるなど考えてもいなかった。
六月の晩のこと。 ヘルレイザー鎌足を最後に見た夜のことだった。
つづく
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