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海老日記
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2005年11月01日(火)
物部日記・今夜も二本立て


 物部日記・トーリトアオクッリト

 家の前に、猫がいる。
 合いも変わらず私の部屋の前には猫がよく座っている。なにが嬉しいのだろうかというくらい、そこにいる。
 夏場はちょうど日陰になっているから望んだのだろうけれども、今は秋だ。いくら夏の国土佐でもこの季節の風は寒い。もっと暖かいところにいけばいいだろうに、何故か私の家の玄関前で寝ている。

 名前はぐし。なんとなく「ぐしっ」って感じだったのでそう呼んでいる。ちなみに鳴き声はぎゃーすと聞こえる。
 まあいい。




 今日は何故かそのぐしのスペースに帽子が落ちていた。
「なんでしょこれ」
 手にとって見る。
 真っ黒な帽子だった。なんだか魔女がするような、とんがった三角帽子。
 何故に帽子? つうか、こんなのに普段着としての需要があるの?!

 しかし、というかやはり。このアパートの敷地内に落ちているということはこのアパートの住人のものなのだろうか。
 ここには私とZさん(あごひげの似合う青年)とリルリル(本当にいるのかは不明)と後は……本当にいるのかどうかわからないヘルレイザー鎌足さんくらいのものだ。

 ヘルレイザーさんに三角帽子……



 結構似合うかも。




 そんなことを考えたりもしたが、授業に遅れそうだったので帽子はそこに放置プレイにして自転車に乗った。
 まあ、帰ってきたらなくなってるかもしれないけど、僕のじゃねーからいーや。



 学校につくと、購買に佐々木女史がいた。
「物部くん」
「おはようございます。佐々木女史」
「物部くん宅に帽子落ちてなかった?」
 まずはあいさつしろよこの野郎とも思ったが、佐々木女史の質問は、意表をついていた。
「帽子ですか?」
「うん、黒くてとがってて魔女がしそうなの」
「ああ、落ちてました」
「うんうんありがとー。でそれどこ?」
「いや、放置プレイですけど」
「ばかー」
 いやいや、あなたのだとどうして私にわかる
 時間はもうなかったが、どうしても訊いておきたかった。
「あの帽子、なんですか? っていうかいつ家に来たんですか?」
 佐々木女史は嬉しそうに
「ほらほらー、昨日はハロウィンでしょ? だから化装してみんなの家に遊びに行ったんよ」

 ああ、ハロウィンか。すっかり忘れていた。

「で、お菓子をくれなきゃいたずらするぞーって言って」
「……そんなこと本気でしたのか二十一歳?!」
「しようと思ったらなんかみんながブーイングするから、物部くんちで止めたよ」
 懸命な判断です。
「なのに物部くん留守だし」
 ああ、基本的に帰るの午前一時なので
「で、帽子忘れたんですか」
「うん。ねー、帰ったらしっかり守っておいてよ帽子」
「知ったこーとかー」
「うわ、ひどい」

 帽子ねえ、
 

 あるといいのだけれど。





 で、授業が終わった後帰ると、帽子はまだあった。明日、学校に持っていこう。すごく嫌だけれど。


「ぎゃーす」

「え? ……うあっわ!!」

 突然何かの鳴き声がして、次に帽子が暴れだした。
 思わず手に取っていたそれを地面に叩きつけると中から飛び出てくるもの。


 猫?


 帽子の中に隠れているもの。それは、


「ぐし」


 ぐしだった。
 帽子の中に、猫がいた。

 突然隠れている帽子を持ち上げられて驚いている猫と、同様に動揺している私。目が合う。
 ぐしは威嚇するようにぴんと体をのばして、こっちを見ていた。

 私は帽子を取り直して。

 かぶってみる。


「あら、暖かい」


 でも、寒いので家に入った。













 物部日記・反応無


 明日から、再び日記を凍結します。
 高知大学の文化祭『黒潮祭』のスタッフをやるために水曜日から日曜日まで学校に泊まります。その間はコンピュータに触れないので、日記も残念ながら書けません。

 ふう。


 思ったよりもハードなスケジュールで僕ちんちょっとびっくり。

 でもまあ、ヘルレイザーさんに会ってから、そういうことがあんまり辛くはなくなりました。
 さあ、祭を楽しんできます。



 高知大学文芸サークル『海老銃』の屋台

 牛鳥物語は十一月三日と四日、やってまーす。


 みんな、来てね!