「ただいまー」 そう言って保育園の教室のトビラを開けると、夢中でお友だちと遊び回っているルンバの姿が目に飛び込んでくる。たいていは、あまりに遊びに集中し過ぎて、私がやって来たことにしばらく気付かない。その間に私は汚れ物や連絡ノートをカバンに詰め込んで、帰り支度だ。
しばらくして、ようやくルンバが私に気付く。途端に彼は甘えん坊くんに変身する。 「ママー!」 そう叫んで、飛びついてくる。しゃがんで支度をする私の背によじ登り、そのまま下りようとしない。
保育園の帰りは、いつもこうだ。
ルンバは数カ月前から、急におんぶが好きになった。隙を見せようものなら、すぐさまバックを取られる。お迎えの時は特に甘えん坊モードなので、背中に乗ったまま絶対に下りようとはせず、おんぶしたままの退園となるのだった。赤ちゃんみたいで、なんかちょっと恥ずかしいぞ。
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子どものころに覚えた歌に「おんぶおばけ」というのがある。ルンバが飛び乗ってくると、いつもこの歌を思い出す。それを夫に言うと、夫が「オレンジ色のおばけでしょ?翡翠から生まれた」。ん? なんか話が違う? どうやら夫が言っている「おんぶおばけ」は、アニメらしい。歌も、私が知っている「おんぶおばけ」とは別物だった。私はそのアニメ、見たことがないぞ。そんなのがあったんだ。
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今日は保育園で、お散歩の帰りに消防署に寄り、消防車に乗せてもらったらしい。ルンバは大喜びで、下ろそうとされると、「まだ乗っていたい〜!」と怒っていたそうだ。消防署ではしゃぎ過ぎたのか、帰りの台車の中で、立ったまま寝てしまったという。
お迎えに行った時、ほかの子が床におもらしした所を気付かずに踏んでしまったルンバ、大声で「あーーっ!!」と叫び、濡れた足を見てギャーギャー騒ぐ。手足が汚れたりすると、たまにこうして大げさに騒ぐのだ。見ているほうは、笑ってしまうのだけどね。
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