Leonna's Anahori Journal
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2002年02月16日(土) |
やっぱり捨てられない |
昨晩。夕飯のあと、パソコンデスクを新しい部屋へ移す。自分の部屋のためとなると、信じられないくらいよく働くな、私は。
今日はそのパソコンデスクをペンキ塗り。木製のトップと黒いスチールで出来ているデスクのスチール部分をアイボリーに塗り替えた。朝、ホームセンターでペンキを買ってきて、結局夜まで、パソコンデスクにかかりきり。こんな面倒くさい仕事、他人のためだったら絶対に出来ない。
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室内大改造を始めて押入れや天袋にしまい込まれた不用品を整理していると、どうしてこんなところにこんなものが?というようなものが次から次へと出てくる。
以前部屋に飾っていたアンティーク調の小さなコーヒーミルが出てきたので、処分しようと思って一応引出し(挽いた粉をためる部分)を開けたら、ぎっしりと貝殻が詰まっていた。こんなところに貝殻をしまう自分にもあきれるが、出てきた貝殻を見ているうち「これはランカウイ島のビーチで拾ったやつ」とか「これはホテルのルームメイクの人が毎日枕元に置いてくれたやつ」などという記憶が次々とよみがえってくる。それで、ミルはともかく、出てきた貝殻が捨てられなくなってしまう。
天袋の隅から出てきた菓子箱には変色した手紙の束が入っていた。そして、その束の下からは、破りとられた文芸誌の一部が出てきた。新潮に掲載された村上春樹「納屋を焼く」と村上春樹訳、T・カポーティ「無頭の鷹」だった。 「納屋を焼く」の初出だから、破り取られてから十五年以上はたっているだろう。これらもまた激しく変色している。 そういえば当時の村上春樹が新作を発表するのは「新潮」か「群像」誌上だった。「羊をめぐる冒険」を一挙掲載(!)した群像はさすがにものすごい厚さだったっけ…などと思いながら、これら変色した紙片を大切にしまい直している。
またマルチェロ・マストロヤンニの死亡記事の切り抜きなどというのも出てきて、これは1996年12月20日付の新聞。死因はすい臓がんで享年72歳。パリの自宅で最期を看取ったのはカトリーヌ・ドヌーヴとキアラ・マストロヤンニ(ドヌーブとの間にもうけた娘)だったとある。当時まだ存命だった淀川長治さんの談話には「イタリアの宝が亡くなったような気がする」と。掲載されている写真はヴィスコンティ監督「異邦人」でアンナ・カリーナと一緒に砂浜に腹ばいになっているもの。…捨てられないよね、やっぱりこれも。
これで家の中が片付くわけない!と思いながら、ううう、やっぱり捨てられない。
晩年の出演作では「黒い瞳」「みんな元気」が好き。泣きました。名作でした。
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