ダメダメちゃむ日記
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2008年05月11日(日) 動揺

食事に出掛けようとした時、近所で消防車の音が聞こえた。
実家の方向から、しかもかなり近くに煙の上がるのが見えた。
この近辺は新興住宅地である。近づいてみると、近所でも特に新築の多い地区からの出火だとわかった。校区内であるということは、すなわち生徒の家かもしれない訳で、ダーは緊急時には人命救助をするという任務もあることから、車を回した。
近所の人々が表に出ていた。私もいわゆる野次馬の呼ばれる中の1人になった。ふと見ると、教え子がいた。
「あれは誰の家?」
「わからないんです。○○ちゃんの家かもしれない」
アタフタヘ( ̄□ ̄;)ノ ヽ(; ̄□ ̄)ヘアタフタ アタフタヘ( ̄□ ̄;)ノ ヽ(; ̄□ ̄)ヘアタフタ
教え子が少し辺りを回ってから、
「先生、あれ●●先輩の家です!」
卒業生だ。高校1年生の元生徒の家から煙がもうもうと出ており、それは明らかに「火事」と呼ばれるべき災害だった。
消防車はいち早く放水を始めた。
煙はいつまでも白かった。火事というものは黒煙が上がるのだと思っていたのに……。とか訳がわからないことを考えながら、家と煙と水を黙って見ていた。
何人もいる消防署員さん達が要救護者の有無について騒いでいないので、
多分家人は無事なのだろうと思った。
次女のママ友と出会い、「家の人はみんな無事らしいって誰かが……」みたいなことを聞いた。
野次馬ってもっといるものかと思ったのに、予想と違って人垣なんかはできてなくて、ずっと静かだった。

あの子は今どこにいるのだろう?(ToT)

自分の家から燃え上がる煙を、時折見える炎を、家にかけられるポンプの放水を、どんな思いで見ているのだろう?(ノД`)
おとなしい子だった。無口な子だった。不器用だけどとてもいい子だった。
(現場に駆けつけたらしい)夫と離れて、通りを挟んだ裏側から、はらはらしながら、燃える家を見た。ただ見ていた。見ていることしかできないのだ(┰_┰)ウルウル<ヾ(ーー )おいおい?

消防署員が「延焼のおそれはなくなりました」という旨のことをマイクで近所に放送した。
民法のTVカメラも2台来ていて、煙の出る家を録画していた。女子アナはマイクを持っていた。

何だか目の前のことに全然実感がわかなくて、
頭の中は「FIRE BOYS め組の大吾」のいろんな場面がフラッシュバックしていた。
煙がかなりおさまってから突入した消防署員さんを見て、
「今背負っているのが空気ボンベ。煙がまだ出ているから面体はつけて入るんだろうな」
とか、それこそどうでもいいことを考えていた。

鎮火が近いことがわかったし、テープの外側にいる私たちがそこにいてもできることは何もない。
ただ興味本位の野次馬の頭数が増えるだけのことだ。
予定通り食事に出た。
食事が終わって帰途につくと、消防車が3台帰るのとすれ違った。
これも出掛ける前の予定通り、本屋に寄って入院中の時間潰し&脳トレにクロスワードの雑誌などを買った。ここで結構時間をくったと思う。
誰からということもなく、その家の様子を見て帰るとなった。
家は完全に鎮火していたが、家の前には消防車がまだいて、ポンプ用のホースもまだ片付いていなかった。
車のタイヤがホースを踏まないように、小さな台のような物がホースに置かれ、消防団員さんの誘導で家の前をゆっくり通過しようとした時、
助手席のちょうど目の前に、その子は座っていて、私と眼が合った。
燃えた家の向かいの家の玄関の前にちょこんと座っていたその子は、思っていたよりずっと小さく見えた。
助手席の窓を開けると、その子は近づいてきた。
名前を呼んで、両手を握ってやることしかできなかった。
「先生、……大丈夫です」(^^)
「大丈夫なわけないやろ……」(ノД`)
弱々しく微笑む15歳の子どもの何と痛々しかったこと!(┰_┰)ウルウル
せっかく入った高校の制服も、教科書も、中学校の卒業アルバムも、燃えてしまったか、水でずぶ濡れになって使い物にならないだろう。
消防団員に誘導され、そのまま車は進み、両手が離れた。

帰宅後、ダーのアドバイスで「御見舞い」を持って行った。
先日リフォームしたばかりだと周囲が言っていた家。
まだまだローンも残っている家を、私は見ることができなかった。
動揺したまま、通夜のような台詞をしどろもどろで言いながら、
「ほんの気持ちばかりですが……」
と震える手で、包みを手渡した。
何故だろう? 
「御見舞い」とあらかじめ書かれた包みの左端には赤い線が引かれてあった。「入院、災害用」と書いてあったのにな。
「こういうのを陣中見舞いっていうんだよ」
とダーが教えてくれた。

試験外泊中の私には十分すぎる動揺を与えてくれた出来事だった。
胸が痛む。


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