夢見る汗牛充棟
DiaryINDEXpastwill


2000年03月02日(木) 想像の海

想像の海






海の言葉をうたう人は

水でかたちづくられているのか

透明なすべてのあおみどり

色づく優しさ激しさ

内外に溢れる線でない いのち

背骨を銀色の魚が昇ってゆく

大気を抱く水滴は

淡く眼を潤し肌に沁みる安らぎだろう

踊る塩の微粒子が胸をひりつかせる

知らない音律のうつくしい言葉に

涙するわたしの内側にも

かならず塩は融けているのに

とても遠くて届かない海に

わたしは融け合わないので

海をうたう人をいいなと思う

青のただなかに腰掛け

海豚と遊ぶように白い泡と戯れ

塩のように言葉を解かす

青い眼差しは遥か遠くを見るけれど

彼のすべては足元にあり

命はつま先と繋がっている











(2003.01.25)


恵 |MAIL