夢見る汗牛充棟
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想像の海
海の言葉をうたう人は
水でかたちづくられているのか
透明なすべてのあおみどり
色づく優しさ激しさ
内外に溢れる線でない いのち
背骨を銀色の魚が昇ってゆく
大気を抱く水滴は
淡く眼を潤し肌に沁みる安らぎだろう
踊る塩の微粒子が胸をひりつかせる
知らない音律のうつくしい言葉に
涙するわたしの内側にも
かならず塩は融けているのに
とても遠くて届かない海に
わたしは融け合わないので
海をうたう人をいいなと思う
青のただなかに腰掛け
海豚と遊ぶように白い泡と戯れ
塩のように言葉を解かす
青い眼差しは遥か遠くを見るけれど
彼のすべては足元にあり
命はつま先と繋がっている
(2003.01.25)
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