夢見る汗牛充棟
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仮定画法
昔昔 あるところで
仮に神が人を創ったとして
人は寂しい寂しいと云い
人を加工してこれを作った
そして人は男になったけれど
男は完全な身体を損なうほど
善きものを得たのかと繰返し問うている
愚痴に溺れ寂しく食卓に突っ伏した
その背中 お気の毒な結果
永遠の楽園をうしない
男はそれを責めただろうが
あばら骨なのだから
思考の機能は付されていない
あばら骨をふくれた白いむなぢにかえたのは
顔を埋めてべそべそ泣くためだったのか
それは蛇を責めただろうが
あばら骨に抗議されても
蛇として何ら痛痒を感じぬそうだ
神は人を責めただろうが
製造物責任は自らに
問いただして欲しいんで
つまり誰が悪いんでしょうと繰言になる
天転点 、有史以来
地には災いが満ち満ち
神は安易な約束をして
さぞや苛苛しているだろう
砂に沈んだ箱舟を呪いながら
後悔にくれているとしたら
ざまあみろと呟いていい
人は好き勝手な祈りを吐き散らした
まったきものが在るならあたしは
黙って男の頭を撫で撫でしながら
雨の降り続く夜と朝を幾度通っても
虹なぞ金輪際みたくもない
消えてしまえばいいと祈る
人でなしの骨
まが言で
女
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