夢見る汗牛充棟
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2000年04月01日(土) 美しいもの

「美しいもの」


草はきれいだ
花はきれいだ
鳥はきれいだ
虫はきれいだ

いつ生まれたのか知らない
いつ死ぬのかも知らない
彼らには名前がなくて
生と死を巡りながら
常にそこに在るから

俺を見ろ
俺を忘れるなと
決して言わない

あれが死んだと
彼らは泣かない
淡々と明日死ぬための
潔い命
彼らの死を誰も知らず
そこに生えた一輪の花も
しばらく後には同じでない

勝手な人々に
「きれいな花ね」
といわれ
「じゃまっけな草」
といわれ
「うわぁ、羽虫だらけ!」
といわれ

それらにまるで頓着せず
天と地の理すら気にかけず
無心に生きるから

その命の有様を
羨望と共に
なんと美しいものと 私は思う


恵 |MAIL