夢見る汗牛充棟
DiaryINDEXpastwill


2000年04月06日(木) 夜のだだもれ

愛する土もなく
愛する風もなく
愛する水もない
寂しげな荒野に住んでいる

なつかしい匂いなく
なつかしい色なく
なつかしい音のなく
寒々しい世界のさらに果て

◇◇

それでも立たねばならないのか と

言えないかわりに呪詛描く
生まれた形がにくいと思う
なぜひとでなければいけない

生き難いけれど逝き難い
もはや何処へも行き難い
たくさんの荷物が重たいばかり
ほかの死の上 ほかの灰の上
愛だけがいつも留守をする

◇◇

お気に入りの歌を聞く
こんな歌にひたされて 眠りたいと思う
こんな夜のまま 目覚めなければいいと思う
孤独の海に深く沈んで
寂しがりながらとけたらいいと願う

また目覚めたと思う明日の手前にて


               (20061215)





恵 |MAIL