夢見る汗牛充棟
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2002年11月20日(水) 枕を濡らす静清合併

地元な話題で相済まぬが、静岡市と清水市が近々合併しちまうわけだ。
もう決まっちゃってるんだ。新しい市の名前は『静岡市』である。
なんで、吸収といわないのか?

「悔しいなぁ、せめて『駿河市』がよかったなぁ」という
一清水市民の切ない胸の内、静岡市民に、わかってたまるか。
うちだけ住所が変わって手数なのが不公平だ、と言いたいわけじゃない。

育ってきた「おらがまち」は清水だったんであって断じて静岡じゃないんである。
わしは、清水に郷愁のにおいを嗅ぐ清水の人なんである。
静岡市の意味するところは、『県庁所在地』又は『買い物に行く賑やかな場所』
にすぎない。

「清水市」。
その名は、大樹の陰によりそう、小さい市の鬱屈した感情を育んだ名前だった。
でも、いいところだって在るもんね…、わしらは常に呟いてきたんだ。
ああ、こん畜生。悔しいな。憤ろしいなぁ。

やたらと小さい町や市同士がくっつきあうことが、流行らしい。
頑張って、最期まで村であり続ける、町であり続けることはそれ自体
一つの貴種としての価値を生み出す時代になったんじゃないか。
『地図帳、最後の村』とかね。

大きくなればいいってもんじゃないよ。
名前が変われば賑やかになるわけじゃない。
大きな都市の鄙びた一欠けらに変わるだけだ。

村には、村の価値がある。小さい市には小さい市の価値があった。
対等合併だなんだと言ってはいるが、対等だと何人の人が思っている?
小さいものが大きいものに飲み込まれるとき、そこに残るのは、吐息のような悲哀だけなんだ。
わしは、いいたい。それでも清水市はいい市だったよ。

でも、鬼がきて一口に食ってしまったんだ。


恵 |MAIL