夢見る汗牛充棟
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今日で【清水市】が失われる。 私が育った市は記憶の懐古にだけ痕跡を留め、瞬く間に 時間の中に埋もれて風化するのだろうか。
請求書と一緒に一応住所変更のお知らせ作りをしながら一人で 根暗く、根深く怒ってみたり。だう。切ない。 てゆーか、合併カウントダウンだかで、日本平でイベント あるんですね。今、花火の音がします。怒・怒・怒。ふんだ。
近所の堤に帰りがけに寄ってみたら、桜は今週が見ごろどころか すでに満開に近かった。おお、なんということだ。 とりとめない考え事をしながら、ぼんやり桜に魅入る。 立つのは決まった場所。 一昨年も、去年も。これで、また一年を経た。 来年も見ることができたら幸いだな、と毎年思う訳だ。これぞ人生。 どんなことを考えていたかというと。 …ぐだぐだと散漫なことですw;
ついでに帰り道で、暇そうにしていた焼きとうもろこしの屋台に ふら〜と吸い寄せられたものの、渡されたとうきびはこんがりと 焦げ目がつき醤油の香ばしい匂いがする、ひんやりと冷たい、 冷製焼きトウモロコシ というとても手の込んだ代物だったので、 わしゃ、泣きそうでした><
散漫な考え事メモ。覚えてるところだけ。
桜はどこまでも拡散する散漫な春という生物だ。 幹から張り巡らされた無数の細かい血管が曖昧な空に広がり 赤くはないが、先端にほとばしる無数の血のように花咲くのだ。 風吹くたびにぞわりぞわりと眼前で蠢いている。 霞のような桜の向こう側に透けるとりとめない色をした空は 果たして現のものだろうか。
その樹は。先端にあやしく灯る白いほのほの大群は 境界の向こうからざりざりと忍び寄るものの微かな匂いを放ち しきりに人を招いている。 重なりひろがる樹の下に寄せ餌に群がるように人は集い。 歌も好く。笑いも好く。融けるように闇に宴をはる。 さまざまの人の吐き出すものを桜はおそらく啜るのだ。
人は満開の桜の間を夢遊病のように擦り抜けて行く。 桜が儚く人を置き去りにするようでいて 人は遥かに桜を置き去りにして往く。 川の向こう岸から眺める仄かに白いけぶりは桜ではなかろうか。 川を渡るのは常に人であって桜でなければ。鬼でもない。
【三月は深き紅の淵を】恩田陸(講談社文庫) 再読。二度目。まだ三分の二程度。今日中に読み終わるといいな。 柘榴・柘榴石・ガーネット・三月。
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