夢見る汗牛充棟
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2006年10月22日(日) |
ガレー船徒刑囚の回想 ジャン・マルテーユ |
木崎喜代治 訳
岩波文庫 青473−1
面白そうだったので購入。読了。
国はフランス。王様はルイ14世。 ナントの勅令廃止と世界史用語集に書いてありました。 カトリックに迫害されて、プロテスタントの人々が大変なことに なっていた時代。プロテスタントだった人が書いた体験記。
国でプロテスタントを禁止したから、その信仰を続けるのは違反行為。 故に捕えられて、棄教を迫られ、それでも信仰を貫いたのでガレー船の 船徒刑囚として十年以上大変な思いをしましたという著者がその体験を 綴ったもの。
ガレー船徒刑囚とは要するにひたすらガレー船を漕ぐ人です。 優美な白鳥の水面下の足にあたる人なんだな、と理解しました。 鎖につながれての過酷な肉体労働だし刑罰だから待遇も劣悪だし。 五割以上が服役中に死亡する恐ろしい刑だったらしい。 二十四時間無休で漕ぎ続けることもあったそうなので、五割死亡も ありえない話ではないな、と思います。倒れないように監督官が 漕ぎ手の口にワインを浸したパンを放り込むんだとか。カロリー不足。
そんな過酷な刑罰に、殺人とか強姦とかならともかく信教のために 送られるってどうにも嫌なものだなぁ、と。
この本自体は、暗くも恨みがましくもなく、狂信的でもなく、 他宗教を過度に攻撃するでもなく、面白くて興味深かったです。 所により冒険小説のように心躍ります。 あとは、地獄の沙汰も金次第なんだなー、とか。
プロテスタントを迫害してカトリックってひどい、と思おうにも 時と所変ればプロテスタントだって立派にカトリックを迫害したり 虐殺したりしているのだし。どうなんでしょう。 宗教上って、難しいなーと思うばかりです。 特に信教がないのでことさらにそう思います。
プリンセス金で妖★国の騎士が終わってた。 十二月には最終巻が発売らしい。 中学生から読んでいた作品なのですが、感慨深さよりもより 敗北感を強く感じて打ちのめされたのは何故だろう。 こんなどうでもいい最終回見るくらいなら、さっさと見限って 単行本を売り払っておけばよかった。めそめそ。 無駄に長くなって、もうぐだぐだだってわかっていたのに。
終わるべきときに終わらなかった物語は不幸だと思う。
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