夢見る汗牛充棟
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2007年04月15日(日) ガリア戦記 カエサル

講談社学術文庫 訳:國原吉之助

読了。

だんだん面白くなってきて、だんだん読みやすくなった。
なんとなくケルタエ人側を応援したくなるのはいかんともし難い。
そんでもって臨場感ありすぎて、憂鬱になります。
兵士はもちろん、女子供を虐殺し、略奪し、街を焼き、畑を荒らし
穀物倉をも焼き払う。もう死ぬしかないですね。

征服者側の当事者っつうか張本人でありながら、いかにも客観的に
主観による恣意なぞ欠片もありませんよ風に描かれているのが
見事だなーと思う。あと客観的と関連するのかな、敵側に対する侮りとか
蔑みを極力排除した文章でやっぱ好き嫌いはともかくモノスゴイ人だった
んだろうなと素直に思える。

別の人が書いた八巻は、その点なんとなく蔑みや侮蔑が文章上に
現れすぎているのが高慢ちきで嫌な感じーでした。
意図やなにやら全てわかった当の本人がわざと客観的に書くのと
第三者が客観的に書くのはなんとなく違ってるのは仕方ないにしても。

ケルタエ人、同盟はできないは、局地的な小規模戦闘ならともかく
大規模な戦になると力をまったく発揮できなくてもうどうしょも
なかったです。ねちっこさとしつこさと結束と地道さが足らない。
工夫も足りない。人数では戦闘技術の発展度合いの差って覆せないのかな。
普通に考えれば、他領土に侵入して戦をしているローマ側の方が
よっぽど不利だと思うんだけど。

カエサルの書き具合もあるかもだけど、絶妙なところで総崩れ
になるわ、ここぞというところで仲間割れするは、横の連携
なさ過ぎて読んでて悲しかったです。部族いっぱいあるからー。
あと、名前が長すぎて覚えられないよう。

ローマ人にもガリア人にも騎兵を貸すゲルマニア人は曲者だなー
と思います。

巻末に解説あったし、地図も最初気がつかなかったけどちゃんと
ついていたし、用語集まで付いていたし、実は至れり尽くせりでした。
地図は参照頻度が高いので、付録にして挟み込んでくれてたら
もっと嬉しいのにとか思った。広げておいて読みたいです。

すごい書物は後世に伝わるんだな。どれだけの人に読まれたのか
と考えるともうため息しかでません。


恵 |MAIL