夢見る汗牛充棟
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2007年04月21日(土) |
シャーロック・ホームズ 東洋の冒険 テッド・リカーディ |
日暮雅通:訳 光文社文庫
ホームズパスティーシュもの。 買いたい本がなかった時に衝動買い。
どうにかこうにか読了。
ホームズの空白の三年間をロンドンに帰ってワトソンさんに 語るという形式の短編連作。語った順で時系列順ではない。
著者さんの専門分野らしいチベットやインドの詳細な記述はすごい。 不勉強なので正確な知識を披露してくれているのかは、わかりかねますが。 もっともらしくって、なんかすげーうんちくだぜと思うです。
ホームズのパスティーシュとしてどうなの? というのは ホームズ愛好家でない私には語れない事柄なので置いておきます。
好きな話は、ジャイサルメルの謎、フランス人学者の事件。
印象に残った文章は 「地上の楽園は、敬虔なイスラム教徒には住みづらい」 「われわれは世界のこちら側の人々に何の用もなく、彼らもわれわれには何の用もない」 です。今になっては世界に行き来できない壁を望むのは無理なんですけど。
物語として。推理を積み重ねてどーこーという印象はなかった。 動くと展開が開ける、行き当たりな冒険もののような雰囲気です。 けれど、冒険ものとして読むならば致命的なまでに、躍動感とか 臨場感とか、勢いとかがごっそりと抜け落ちているような。 でもたまに、えー? そんなんありか? とか叫びたくなる。
なんとなく地味。でも500頁弱。 ちょっと読むと猛烈におねむになるのが困りものでした。(私はね) 趣向はこらしていてもどうしたって一人後語りものだなと思いました。
総括すると、私にとっては抑揚に欠ける退屈な講義っぽいお話。 なので短編連作でよかった。長編だと眠い以前に挫折してたかも。
ええと、あくまで私見です。概ね趣味の問題です。
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