夢見る汗牛充棟
DiaryINDEXpastwill


2007年06月17日(日) 歴史哲学講義 上・下   ヘーゲル

長谷川宏:訳

岩波文庫 青630−0

長らくの積読のすえ、ようやっと読了。疲れた。
歴史哲学ってなんだ? と思ったので購入したもの。
手にとっておいてなんだが、哲学は苦手だ。
ちんまい歴史の方が好き。

すげー時間かかったわ、途中で雨に濡れて下巻がへろへろに
なったわ、散々でした。へろへろついでに線引きしまくり。
基本的には付箋貼ることはしても、線引き入れないんですけど。
傷んじゃったし、もうブクオフに持っていっても売れなかろうから。

上巻を読んでいる時点で、なんつーかふつふつと反感が湧いて
しまったので、よけいに時間喰ったです。萌えない……じゃなくて。
面白いんだけど腹立つ。ええと、ゲルマン人じゃないからかな。

「善」でも「理性」でもいいけど――ヘーゲルさんが立っている時と
場所にあるものが、完成形ではなくとも(現)時点で一番良い進化の形
だという結論がまずあって、そこに至るために世界を抽出してるようで
いらいらする。というか抽出方法、切片次第だと思えて胡散臭い。

キリスト教的、西洋史とでも言えばいいのに。「世界史」と言う。
アフリカは未開で野蛮。かれらの内には人間の心に響くものがないとか
すっぱり斬って捨てられるし、
中国は個人が埋没していて、精神性が欠けてるとか、世界史の外にある
とか言われちゃうし。異教徒とひとくくりにされてもよ、と思ってかなり
面白くなかった上巻。

下巻、第四部のゲルマン世界については、面白く読めました。



どっかの国のことみたいで笑った箇所


〜国民の汗水たらした労苦からしぼりとられた金品が、国家目的につかわ
れるのではなく、まったく無意味な贅沢三昧に蕩尽されていることがあき
らかになってくる。
 国家の全体機構が不正に染め上げられているように見える。……。
 政府が改革に手を付けられないのは……、必要やむを得ぬという理由
からも、絶対の正義の名においても、その特権を放棄しようなどと思いも
しないから
であり、さらに、国家権力の具体的な中心に位置する政府が、
抽象的な個人の意思を原理として、そこから国家を再構成することができない
からであり……〜


そういや、今月の給料から、市県民税大幅アップでしょんぼりです。
源泉所得税は半分以下になってないけど、市県民税は二倍以上になって。
増えてるよ。増えてない言われても絶対増えてるよ。

どっかの電話相談も24時間対応けっこうですが、最大限の出費で最小限の
効果を得るなら誰にでもできるし。これだからいくら赤字を出しても予算が
潤沢にある人たちはとことん嫌だよなぁと思う次第。




〜少数者は多数者を踏まえていると称してはいるが、実際は、多数者を
踏みにじるだけのことが多い〜

〜社会のすべては、個人の参与する公然たる権力と公然たる同意によって
動かされなければならないというような形式的かつ抽象的な自由に執着する
かぎり、確固たる組織は成立のしようがない〜

〜特定の政治機構があらわれると、直ちに自由が異を唱える。特定の
政治機構は特定の意思であり、つまりは特定人のわがままだ〜こうして
多数者の意思が内閣をくつがえし、これまでの反対党が内閣を組織する。
が、反対党が政府になったとたんにその政府に多数者が反対することに
なり、こうして不安定な動きがいつまでもつづきます。〜


自由主義国家というのは、なんつーか矛盾だなぁ、としみじみ。


恵 |MAIL