うっそうとした峠を走り抜ける。少し高みに上がると、すぐに霧がかかる。霧を抜けると、目の前に海が広がっていた。嘘のように強い日差しが、腕をチリチリと焼く。エアコンはつけない。窓を全開にし、少しだけ湿った風で車内を満たす。BGMも何も無い。気が付くと鼻歌がこぼれていた。いくつもの風車が回っていた。水平線は、空と一つになっていた。海になりたい、青。