今朝、ドアを開けて寒さに身を丸めながら自転車の鍵を差す。 お向かいのお宅の玄関先を、多分娘さんだと思うけど、ふと、目が合ったので軽く頭を下げた。 「おはようございまーす!」 ごく自然な元気な声だった。 慌てて、もう一回頭を下げなおして、自転車にまたがって蹴り出す……。 「いってらっしゃーい!」 思わず、ブレーキをかけて振り返ってしまった。 「ど、どーも」 いやあ、めっちゃ久し振りに、誰かに送り出された気がした。 単なるご近所さん、しかも、顔を合わせたのは初めて。 ご両親がしっかりしているのか、それとも、このまちに住むひと達の気質なのか……。 そりゃ、路地を擦れ違う時は、見知らぬ人でも、お互い会釈をしたりしていたけれど。 このまちを選んで良かった。 あとは、「文豪のまち」にあやかって、執筆に励むだけだね。 とはいえ、最近不調が続き筆は止まったままだけれど……。
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