| 2006年01月08日(日) |
手にしても手にしきれない風景 |
昨年十一月半ば辺りにふと浮かんだ光景があった。 でも、なかなか捕らえられなかった。 手を伸ばそうとする度に掻き消えてしまい、ただずっと、夜空に浮かぶ月の姿しか見続けることが出来なかった。 少し見えては、描き。また少し見えては、書いてしまっている、これは違う、と消して、の繰り返し……。 それが、やっと描くことが出来た。 ひと月半、始終考え続けていたわけではないけれど(考える段階の前で、考えるべきではない段階が大半だった)、丁度良いタイミングで描けた。 もどかしかった……。 動かない風景を無理に動かしたところで、それは全くかけ離れたものになってしまう。昨日の「形にならないもの」ではないけれど、言葉にならないものを無理矢理思いつく限りの言葉を並べてみたところで、並べるほどに的外れなものになってゆく。 なんとか描き上げたと思っていても、見返すほどに、何かが足りない、何かが違うような気がする。それは、一文一語一字であったり、流れであったり、覗いている窓からの角度だったり……。 それでも、原風景になるべく近いものにしてゆく。 はがゆさと、もどかしさと共に、充実感と、爽快感の満ちた時を過ごす。 気が付けば、あっと言う間に四〜五時間が過ぎて行く。 こんな時間は、他の事では得られない。 自分にだけ許された時間……?
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