「隙 間」

2006年01月07日(土) 形にならないもの

隣の席での会話。
「建築って贅沢だと思うの……」
同業者らしい彼女が言うには、他の美術品は単体で価値や魅力が得られる。でも建築は違う。歴史や文化や風土があって、だからここにこれがあるんだ、と複数の背景が融合して初めて価値や魅力が得られる。
「分業化でランドスケープ屋さんが入って、設備屋さんが入って……、でも一人で全部やりたいの。大変だけど」

「形にならないモノを形にしたい」

彼女は、そう言っていた。
難しいテーマ。
形にならないモノは、極論、形になり得ないからこそ、その流動的な本来の意味を失わずにいられるのだと思う。だけど、敢えて形にしようともがき続けるからこそ、人間はあくなき前進をしてゆける。

形にする、とはどういう事?

イメージを直接的に外形に表現するのか。イメージをそれぞれが持ちこめる空間をのみ提供するのか。
どれも方法で、それぞれだと思う。
尖ったモノが攻撃する為のモノなのか、身を守る為のモノなのか、見るものそれぞれで違う。

形にならないモノを、今は言葉で伝えようとしている。そのものズバリという言葉は存在し得ないだろう。
だから、今もこれからも、幾つも言葉を綴り続ける……。


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