抜け道探しのつもりだった。 いつもと違う覚えのない路地に、 フラフラと入り込んでみる。 両手を広げられないほどの、 両側には鉢植えや花が、 それぞれの玄関以外の場所を覆っている。 そのままの道幅で九十度に折れ曲がった。 こんな道もあったんだ、と小さな発見を感じていた。 曲がり角を曲がる。 思わず足が止まった。 初めてではなかった。 十年ほど昔、僕は確かに、ここで、 シャッターを切った。 この風景を、この場所を。 今はまた、目を閉じて、 心のネガに焼き付ける。 ゆっくりと現像するように、 深呼吸をする。 あの頃の僕は、まさか今の僕を想像できただろうか。 まぶたを開ける。 当然のように、僕の前には 露地がずっと続いている。 十年前の僕にほくそ笑む今の僕を 同じように十年後の僕はほくそ笑むのだろうか。 誰かの家から晩御飯の匂いが 鼻先をくすぐる。 懐かしい、あったかい、みそ汁の匂いだ。 僕はクスリと笑って、また、歩き出す。
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