| 2007年06月03日(日) |
「太陽の塔」と「あなたになら言える秘密のこと」 |
森見登美彦著「太陽の塔」
妄想大爆走物語?笑 京大生の妄想家が、振られた女の子をその原因・理由を究明しようと研究レポートを作成しているうちに、それを阻止しようとするライバル(ただの片思い)や、クリスマスやバレンタイン等の恋愛イベント信仰に屈しまいとするモテない仲間たちとの大活劇……?
巻末の解説が本上まなみさんだった、それだけが目当てでした(笑)
彼女曰わくの「へもくて、いとおしい青春物語」 「へもい」の意味は、本上まなみオフィシャルサイト等を参照してくださいな……。
この作品を読んでると、「鴨川ホルモー」「あをによし」やらを読みたくなる。 作者はまったく別の人なんだけど。 早く文庫におちてくれないかしらん。
「あなたになら言える秘密のこと」
をギンレイにて。 はじめは、なにがどうしてなのかわからなかったけれど……。 これは、ズドンッ、とこさせられた。 頑なに心を閉ざし続けているハンナ。 誰にも明かすことのできない「傷」を抱え、夢も希望も何ひとつ抱くことができない日々。 未来や希望から目をそむけるべく真面目過ぎる働きぶりのハンナは上司にとがめられ、強制的に取らされた休暇中、思いがけないことから油田掘削所の事故で大怪我をし、一時的に視力を失っている男・ジョゼフの看護をすることになる。 心を解きほぐされてゆき、そして、視力を失っているからこそのジョセフに、ハンナは「傷」について語り始め、シャツの胸を開いてゆく……。
ボスニア内戦での悲劇。 全身に刻まれた無数の傷跡。
同胞だったはずの兵士に捕らえられ、ただただ犯され、
「本当の悲鳴を聞かせてやる」
というだけで、傷を刻まれ、そこに塩をすり込んだまま縫い合わされるという非道な振る舞いを受け、それでもそこから生き抜いてしまったことに対する、自身への自責の念。
ハンナのカウンセラーが、ハンナを探しに訪れたジョセフに問いかける。
「十年前の悲劇を誰もが忘れている、それを経験した本人以外は。本人だけがそれをずっと抱えて生きてゆかなければならない。語り継ぐためだけに」
ジョセフはそれさえも受け止め、ハンナと一生を共に過ごそうと約束する。やがて二児の母となったハンナは、それでもふと、このすべては夢なのではないのだろうかと疑ってしまうこともありつつも、我が子たちの声を聞いて現実の幸せと希望を抱き締める……。
さて、サッカー日本代表オシム監督就任の際に、彼のヒストリーとして、そんな内戦の悲劇がピックアップされたりもしたけれど、そんな悲劇をわたしたちはどれだけ認識しているのだろうか?
世界規模の問題ではなくともいい。 国内での悲劇、でもいい。
悲劇、という表現はふさわしくないのかもしれない。
あるまじきこと。
それをむりやりほじくりかえせ、というのではない。 知らずにいる思いやり、というものもあるのかもしれない。
ときに正義を振りかざした行いは、人を傷つけてしまうだけのことにもなりうる。
そんな言葉に、あえて背中を向けたくなったりもする。 背中を向けるといっても、否定するのではない。 ことさらに正義と振りかざす事に対して、嫌悪感を感じてしまうだけなのだけれど(苦笑)
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