「隙 間」

2007年11月10日(土) 「リトル・チルドレン」と「百」

「リトル・チルドレン」

をギンレイにて。
大人の内面にある幼児性を様々な登場人物が表してゆく。
 そしてその過ちや見失いかけていたものに気がついてゆく。

 まあ、それぞれにわからないわけではないけれど、おいおいそれはやり過ぎだろ、と愛しさをこえた苦笑がこぼれる。

 児童猥褻罪(?)の刑期を終え出所してきた男が年老いた母親と二人きりで暮らす町。
 子どもを守る会、という地域住民の一部が結成した会の代表を自負する元警察官。
 司法試験に落ち続け、キャリアウーマンである妻に稼ぎを頼り、日々勉強をしつつも主夫として子育てにも励む男。
 夫がアダルトサイトのアイドルにはまって自慰にふける姿を目撃してしまった、修士号をもつ妻。

 すべてはなんとなく日常の中で共感をもってしまうようなことが続く。

 挑戦することに憧れる男。
 自分は他の主婦たちとは違う、と思いたい女。
 トラウマで警察をやめざるをえないトラウマを抱え、それでも市民を守りたいという気持ちだけが暴走してしまった男。
 自分は元犯罪者で唯一の理解者である母親のためにそんな自分をどうにかしたいと切に願う男。

 半ば子どもじみた衝動や欲望に身を任せかけ、最後は大人としての足場に踏みとどまる。

 だけれど、一番ショッキングだったのが、元児童猥褻犯の日常に、元警察官の男がビラやポスター、スプレーによる中傷や、深夜に監視をしていることをわざと知らせるためにクラクションをならしたり、ドアを激しく叩いて、中傷の言葉をぶつけたり。
 年老いた母親は気丈に対応するが、その男の前で心臓麻痺を起こし命を落としてしまう。
 息子の性的嗜好をかえるためにお見合い相手を探したり、自棄になりかける息子を励ましたりしていた母親の最後の息子への言葉。

「いい子でいるんだよ」

 悲しみにくれ、昼間は子どもたちの遊び場である公園のブランコにうずくまる男。
 やりすぎたことに対する後悔と謝罪を伝えるため、元警察官が現れる。

「こんなことになるなんて、望んではいなかった。申し訳ない……」

 何も答えずにいる男の様子がおかしいことに気がつく。

「ぼくは、いい子でいたいんだ……」

 男は自分の性器を自分の手で切断したらしく、血だらけの包帯を下半身に巻いていた。

「絶対に、お前を助けてやる。だから、頑張れ」

 男を自分の車に乗せて病院へと向かってゆく。

 元警察官の行為は行き過ぎなところもある。
 だけれど、例えば子を持つ親としては、性犯罪者が隣近所に住んでいるということが明白な場合、過剰にでも反応せざるをえないと思う。

「起きて」しまってからでは遅い。

 のだから。

「地域コミュニティとの交流を促進し、開放的な教育を」

 と、開かれた小学校施設やらを提唱したかと思いきや、

「犯罪者から子どもを守らなければ」

 と、塀でしっかり囲まれたものを欲したり。
 ほどほど、という概念でものごとを進めることに、現社会は難しいことになっているように思う。

 そして……。

色川武大著「百」

 なんとなく、身につまされる思いをさせられるところがちらほらとあった。
 著者のようにアウトローに踏み込みきれないし、思い切りきれないけれど。


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