「隙 間」

2007年11月27日(火) 星に願う

 クリスマスツリーに飾られた色鮮やかな電球の灯りが、ちらちらとあたりをあたためてゆく。
 ツリーの足元には、銀色に反射している小さな星形を掴み取ろうと、坊やがひとりっきりで背伸びをしたり、飛び跳ねてみたりしている。

 ツリーの先端から地面までゆるやかな弧を描いていた電飾のロープの中の豆球が、ひとつだけ、パチンとひびいるような音を立てて黙り込んでしまった。

 それを合図に、つぎつぎとほかの豆球たちが音を立て、黙り込んでゆきはじめた。
 まるで雨後の増水した沢のように、容赦なく、叩きつけるように大合唱が続いた。

 これでは坊やがたまらないだろう、と見下ろすと、はるか足元で相変わらずぴょんぴょんと跳ねている。

 困った。

 いつの間にかわたしは、てっぺんできらきらと反射している金色の星形になってしまっていた。

 銀色を手にするか、飽きてしまった坊やは、きっと次は金色のわたしに執着するにちがいない。

 執着されずとも、手を合わせ、願いなどかけられたりでもしたらやっかいである。
 願いに絡めとられ、かなえてやるすべも知らず、おのれの逃れたいという願いすらかける相手もないのだから。

 わたしの足元から地につたっている豆球たちは、わたしを反射させることも、身をふるわせることもせず、シンシンとしている。

 坊やが跳ねるのをやめていた。

 わたしを見上げ、その瞳はまっすぐにわたしを捕らえはなしていない。

 坊やにはとうてい届くべくないはずなのだが、わたしは寒気が背中をかけ上がってくるのを感じた。

 ちいさく、目いっぱいかがんだ坊やが、枝葉のかげにかくれた。

 わたしは、さめざめと泣きたい気持ちであふれた。


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